落ちて行く凧
The Falling Kite斷線風箏
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フランス、台湾/1999/フランス語、中国語、台湾語/カラー/ビデオ/42分
監督・脚本・編集:蕭美玲(シャオ・メイリン)
撮影:蕭美玲、ステファン・デニン
録音:シャオ・チンミン、オリヴィエ・ドゥネル
製作:フランス国立現代美術スタジオ・ル・フレノア
提供:蕭美玲(シャオ・メイリン)
Hsiao Mei-ling
P.O. Box 5, Ruey-fang Town, Taipei TAIWAN
Phone: 886-2-2496-6272 Fax: 886-2-2496-7895
Email: tghsiao@hotmail.com
雨の降る夜、濡れたガラス窓から部屋の中を覗く。ひとりの女性が机に向かって書き物をしている。故郷の台湾を離れ、暗く寒い石畳の町に住む作者だ。転じて台湾の基隆。丘陵地は緑鮮やかな水田と緩やかな坂道の白色がまぶしい。作者の祖父母は日本占領下の金山で貧しさに耐えながら働いた。祖母が写真を見ながら記憶をひも解く。一方、1世紀前に鉱山労働者としてフランスに渡った中国人の思い出をその息子がフランス語で語る。合わせて、国と国に挟まれた流浪者たちの歴史と想いが映し出される。フランス留学中にロバート・クレイマーに師事した台湾女性による作品。
【監督のことば】北フランスにあるトゥールコアンはかつて工業都市であった。そこに辿り着いた時、灰色がかった悲しさ漂う北部の地で生き抜くための土台を探す必要があった。この映画は虚構と現実の狭間にある。夢は時空を越えて合致する、様々なイメージを溢れださせる:第一次世界大戦中、父親が中国人坑夫として北フランスに連れてこられた話をする張さんと日本統治下の台湾で夫が坑夫として働いていた話をする私の祖母、また北フランスにある工業廃墟地のイメージと台湾のさびれた金鉱、そしてそれに加えて私の自主的亡命の経験とフランスに住む韓国や台湾の友人たちの経験。記憶と憂鬱は架空の環境を作り出し、様々な時代や場所から拾い集められた人物、風景、歴史が対話を始め、私が自分自身を見つけ出す手助けをしてくれる。だが、このような探究は鏡が映し出す幻想のようなものである。この世界の構築は恐ろしいまでに拡張する空間から抜け出そうと集められた現世の要素から作られた。
映画のシナリオを書く私の部屋の窓はいつも閉じられていて、外界に開かれているのではない、ビデオカメラのレンズに映る私自身のイメージと重なる。
この映画は歴史についてではなく、その運命を歴史によって大きく変えられた普通の人々の感情や記憶をとどめることが目的である。
蕭美玲(シャオ・メイリン)
1964年に台湾の基隆で生まれる。1989年、国立美術大学で美術の学位を取得し、ギャラリーや新聞社で働いた後の1991年、さらなるニュー・テクノロジーを学ぶ為にフランスに行くことを決意する。1994年にナンシー国立美術学校に入学、1998年に卒業する。同年、フランス国立現代美術スタジオ・ル・フレノアに入学し、ロバート・クレイマーに師事した。2001年、フランス芸術活動協会(AFAA)からインドネシアでの「壁外メディチ邸」研究プログラムに選出された。作品は現代アートやドキュメンタリー映画へ傾倒しつつある。現在はパリ、台北、ジャカルタを行き来する生活を送っている。 |
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