ジャリマリ
Jari Mari: Of Cloth and Other Stories-
インド/2001/ヒンディー語/カラー/ビデオ/74分
監督・製作:スラビ・シャルマー
撮影:セートゥ・パーンデー
編集:ジャビーン・マーチャント
録音:ジシー・マイケル
音楽:D. ウッド、ヴィピン・バーティ
提供:スラビ・シャルマー
Surabhi Sharma
#260, 6th C. Main Road, HMT Layout, R.T.Nagar, Bangalore 32 INDIA
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飛行機がひっきりなしに離着陸するムンバイの空港の脇に、ジャリマリというスラム街がある。かつて地元経済の中心だった紡績工場が次々閉鎖されていくなか、路地裏に住む人々は安い賃金で下請け労働を引きうけ不安定な毎日を乗り越す。「明日は仕事があるだろうか。」「空港拡張でスラム街が壊されるらしい。」「大雨で家具を失った。」労働組合や街頭デモが力を失った今、カメラにむかってただ淡々と人生を語っていく、毅然とした女たちの眼差しと休みなしに働く手が心に残る。
【監督のことば】この10年間はインド経済にとって、そのシステムと認識が重大な変化を見せた時代だった。ひとまとめに“自由化”とくくられるこれらの方策は、グローバルな新時代の社会の到来を讃えるものである(と我々は聞かされている)。
小さな小屋に詰め込まれ欧米市場向けの衣料を作っている労働者は、ムンバイが将来グローバルな金融中心地となることを示すネオンサインのきらめきとは、全くの対極にある。映画学校を卒業した当時、私はメディアが創り出すイメージの中に労働者がほとんど登場してこないことにショックを受けた。ムンバイに長年住んでいて、この町がインド随一の産業の中心地だと理解し、感じていたのに。
ほんの20年前、労働者たちの存在の大きさは、史上最長のストライキにくっきりと写し出されていた。それなのに、90 年代はこの町のアイデンティティから労働者を消し去った。この10年の間に、工場や製造所は閉鎖され、労働者たちはほんのわずかな補償金か、あるいはまったく補償金なしで失業させられてしまった。
空っぽになった巨大な建物の裏にある小路で、仕事は絶えることなく続けられている。
私が撮影した人々は、空っぽの工場や製造所の陰で暮らしている。彼らは過酷な小規模家内工場で、不安定な労働条件と低賃金のもとで働いている。
私たちはすぐ近くで飛行機が離着陸を繰り返す轟音の中、これが何を意味するのかに耳を傾け、記録しようと試みた。
スラビ・シャルマー
1970年生まれ。ムンバイの聖ザビエル大学で心理学と人類学を専攻。演劇グループ「アルパナ」でサティヤデーウ・ドゥーベーやスニール・シャーンバーグ演出の劇に出演。ムンバイのソフィア理工学院で社会コミュニケーション・メディアを研究した。プネーのインド映画・テレビ学院監督コースに進む。パンカジ・リシ・クマール監督のドキュメンタリー映画『クマール・トーキー』(YIDFF '99)のアソシエート・ディレクターを務める。テレビでフリーの脚本家、演出家として働く。本作はインド映画・テレビ学院卒業後初のインディペンデント監督作品。 |
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