MAYA
-
日本/2001/ダイアローグなし/カラー/8mm/66分
監督・撮影・編集・録音・製作・提供:関根博之
〒189-0012 東京都東村山市萩山町1-31-7
Phone: 042-341-1875
1930年に神戸・摩耶山中腹に建てられた「摩耶観光ホテル」が10数年前に閉鎖された後、そのまま廃墟のようになっていた。樹海に漂う船影を思わせる建物に入ってみて、刻一刻と移り変わる霊山の大気の中、古色たるとも草木と一体となった清麗な佇まいを撮影。雨天の風情を予感し、さらに翌月、足を運んだ。早朝、山を包み込む霧雲、館内に響きわたる雨もる水の音、破れた窓から流れ込む霧。「水の印象を大事に考え」て作ったという、“廃墟の魔術師”関根博之の8mm映画の傑作である。
【監督のことば】この度、この様な大きな舞台にて作品を上映する機会を与えてくれた映画祭の皆さまに心より感謝申し上げます。個人が映画作りに挑もうとする時に8mmフィルムはとても魅力ある道具でした。一駒一駒に写し込まれた映像を見、触り、感じ、改めて映写機により動く映像として映写幕に世界を再現する。映画の魅力、魔力は何と言ってもフィルムの存在にあると思います。しかし、ビデオ、デジタルの出現によって8mmの存在は追い詰められて来ました。現在日本においてフィルムこそ製造され、現像も出来ますが、カメラ、映写機に関して新品は一切有りません。今回、会場に用意して頂いた8mm映写機も大変貴重なる物です。映画フィルムが世界を映し始めてから僅か100余年、その間に映像の世界は多大なる変遷を遂げました。その中で、映画の原点である「驚き」を受け継ぐ道具のひとつとして、8mmフィルムの魅力、魔力を少しでも皆さまに伝えられる事が出来れば幸いです。
関根博之
1957年東京生まれ。1981年多摩芸術学園映画学科卒業。学園にてほしのあきらより個人映画の製作・上映の可能性を学ぶ。第1作目は『エチュード』(1978)。1982年ぴあフィルムフェスティバルに『少年たちの夢』が入選。1987年頃より東京内に廃虚を見つけては作品化する。『Tokyo Sanpo vol.1』(1987)、『井荻の廃虚』(1989)、『山王ホテル』(1990)、『渋谷仙人』(1991)、『U・O』(1992)、『六本木の廃虚』(1992)など。宇野和幸の美術、広瀬大志の詩、関根博之の映像による『Collaboration―蝕―L'eclipse vol.1』(1997)を発表。作品は全て8mmによるもの。 |
●アジア千波万波|夢の中で|愛についての実話|移民者の心|僕たち|線路沿い|不幸せなのは一方だけじゃない|この冬|ジャリマリ|夢の王|友人、スー|パフォーマンス|母の家は入り江|アテフェと水|Blessed ―祝福―|MAYA|団地酒|異相|村の新しい一歩|別れ|パンジーと蔦|空色の故郷|居留―南の女|ニュースタイム|マージナル|種まき|塩素中毒|集集大怪獣|ミックス・フルーツ・バナナ・スプリット|セールス|落ちて行く凧|時の行進|昔むかし|HUMMADRUZ 〜大地の呼び声〜|水と消えゆく ●アジア千波万波招待作品|ミュージシャン|日蝕|騒音の向こう側|「流離島影」シリーズ|03:04|南之島、男之島|西の島|専売特許・釣魚島|サイレント・デルタ ●審査員|佐藤真|チャリダー・ウアバムルンジット ●アジア千波万波スペシャル|ノンプロフィット・フィルムの現在/新たな文脈を求めて |