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アジア千波万波 [日本]

異相

Variant Phases
- 日本/2001/日本語/カラー/ビデオ/51分

監督・脚本・撮影・編集・録音・製作・提供:川口肇
東北芸術工科大学情報デザイン学科映像コース
〒990-2421 山形市上桜田200番地
Phone: 023-627-2162 Fax: 023-627-2145
E-mail: kaw@cg.tuad.ac.jp

“これがまぎれもない現実だ。”“私は映像や物語をつむぐ「作り手」だ。”“台本は私が書いている。”映像や物語をつむぐ立場のはずの「作り手」が、次々により大きな話術に絡み取られ相対化されていく、永遠の入れ子構造。Phaseが進むにつれ、身を預けたくなる気持ちいい物語と映像・音楽がつぎつぎ差し出されるが、食らいついたら最後、観客は冷水を浴びせられフィクションだと諭される。ところがビデオの森、相対性の森から脱出する方法はあった。振り仰ぐ青い空、風の音、人のハミングの震える声音…。



【監督のことば】作品は作品、現実は現実。スクリーンの内と外は異なる時間流の中に存在し、スクリーンに映し出された出来事はそれを観る我々には触れることはできない。でも本当にそうなのだろうか。たとえば「共振」という、パターンの似た物同士が相互に影響を与え合う現象。作品という、この現実世界を模して造った「模型」を使えば、作品とそれを取り巻く現実とが「共振」し、相互作用が生じるのではないか?

 この作品は1998年に「phase 1」を制作、上映し、上映の機会を得る毎に新たなphase(パート)をひとつずつ付け足していくというルールをもって2001年まで制作を続けてきた。

 現実世界の中に耳を澄まし、その「ほころび」つまり現実と作品との微かな干渉の渦を見出し、作品にフィードバックし、増幅してゆく、という方法論をデジタルビデオ撮影/ノンリニア編集によって実践した。phaseの進行と共に作品の中の現実はシフトし、特異点である作者を触媒として作品の全体像は変容してゆく。

 

- 川口肇

1967年東京生まれ。都立国分寺高校でアニメーションの自主製作サークルに参加。これがきっかけとなり九州芸術工科大学(福岡)に進み、実験映画に出会う。大学1年の1987年から作品製作を始めて以来、フィルム・ビデオメディアを中心に、世界の探求を基本テーマとする作品群を継続して製作している。映像作家集団「フィルムメーカーズフィールド」に参加。1993年から山形に移り住み、大学の教員を務めながら製作を続けている。主な作品は『位相』(1997、YIDFF '97「日本パノラマ」で上映)、『AQUARIUM』(1991)、『filmy』(1988)など。その他短編も含め30作ほどを製作。


アジア千波万波夢の中で愛についての実話移民者の心僕たち線路沿い不幸せなのは一方だけじゃないこの冬ジャリマリ夢の王友人、スーパフォーマンス母の家は入り江アテフェと水Blessed ―祝福―MAYA団地酒異相村の新しい一歩別れパンジーと蔦空色の故郷居留―南の女ニュースタイムマージナル種まき塩素中毒集集大怪獣ミックス・フルーツ・バナナ・スプリットセールス落ちて行く凧時の行進昔むかしHUMMADRUZ 〜大地の呼び声〜水と消えゆく ●アジア千波万波招待作品ミュージシャン日蝕騒音の向こう側「流離島影」シリーズ03:04南之島、男之島西の島専売特許・釣魚島サイレント・デルタ ●審査員佐藤真チャリダー・ウアバムルンジット ●アジア千波万波スペシャルノンプロフィット・フィルムの現在/新たな文脈を求めて