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メイド・イン・フィリピン
Made In the Philippines ... To Fukuoka with Love
Mula Pabrika Hanggang Fukuoka
フィリピン/1999/フィリピン語、日本語、英語 カラー/ビデオ/84分

監督・撮影・録音:ディツィ・カロリノ、サダナ・ブクサニ
脚本:ディツィ・カロリノ
編集:ノノイ・ダディバス、ディツィ・カロリノ
音楽:ロニー・ケサダ
提供:ドキュプロ
(DocuPro)
Sunrise Cottage, P5 Velasquez St, UP
Diliman, Quezon City 1101 PHILIPPINES
Phone & Fax: 632-928-8029
E-mail: docufilm@hotmail.com

 
ディツィ・カロリノ
Ditsi Carolino


はじめは写真家として草の根団体のため、スライド上映会を5年間行なってきた。1991年からドキュメンタリーを撮り始める。作品の多くは貧困のなかでの生活とその葛藤を描いたもの。『Trails to an Answer』(92)、『Keeping the Coop Fire Burning』(95)、『No Time for Play』(96)、『一度きりの子ども時代』(96・YIDFF'97で上映)などの作品を作っている。とりわけ子どもに焦点をあてたものは多くの賞を受賞している。


サダナ・ブクサニ
Sadhana Buxani


ヴィジュアル・アーティストであり、ドキュメンタリーの撮影も担当してきた。ドキュメンタリーに入るまでは、戦災の跡が甚だしいミンダナオ島やマニラのスラムでコミュニティ・オーガナイザーとして働いていた。本作は『一度きりの子ども時代』に続く、カロリノとの共同監督作品である。

フィリピン女性と仕事、というテーマで作られた3部構成の作品。ルソン島の衣料工場で長時間労働を費やすエルザは夜はピケを張る。東京に住むヴェンは、写 真や映画づくりへの夢を追及しながらいろいろな職をこなす。福岡の3人のフィリピーナは日本人の夫との生活とエンタテイナーの仕事について明るく、誇らしく語る。


【監督のことば】

この作品を完成させるまでには延々かかった。まず、女性労働者の苦労を描こうとする撮影隊に協力する工場がみつからなかった。何カ月も探しまわり、ようやく私たちの話のわかる、かつて社会運動家だった人たちの経営する衣料工場に偶然めぐりあった。
そこで、ごく普通の縫製労働者、エルザに会った。特に政治意識が強いわけでも言葉巧みなわけでもなかった。彼女はいわゆる労働組合長とは違っていた。それでも生計をたて、家族のめんどうを見、いろいろなプレッシャーに耐えながら、ストを決行する彼女の勇気と意志力には敬服した。
撮影完了と思われたころ、荒編集版を作ってみた。そのとき初めて、暗い作品だと気づかされた。触発されるのは確かだが、まちがいなく陰鬱だった。
もちろん、暗い話には慣れっこだ。貧困の問題を扱うドキュメンタリーを作りはじめて、もう10年になる。スラムの生活、ピケライン、工場、人里はなれた村。ストリートチルドレン、ゴミ拾いの子、児童労働、何でも撮った。それでもエルザの話は哀しすぎた。私たちにとってさえ。
そこで、撮影を続けることにした。その頃ちょうど、児童労働についての『一度きりの子ども時代』をYIDFF’97で上映する機会を得た。もっと「明るい」女性像を撮る最適のチャンスではないか。日本でエンタテイナーとして生活するフィリピーナたちを取材することにした。
山形で会った短編映画作家のヴェンは、出演を申し出てくれた。日本で「不法滞在」をしながら生活していくため、かつて半年ほどカラオケバーで働いたことがあったと話してくれた。
そして福岡ではマーリーン、エミリー、ケイの3人と知り合った。4日間、乞食並の予算で撮影させてもらっている間、すっかり彼女たちの世話になった。歌と冗談でずいぶん笑わせてもらったが、最後には外国に住む異国人としての差別 に加え、同じフィリピン人から受ける差別にどれだけ傷ついたか、語ってくれた。
 私たちが撮影しながら出会っていった彼女たちそのままを、みなさんにもスクリーン上で感じてほしい。哀しかったり、怒っていたり、おかしかったりするが、いつでも強い女性たちだった。
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COPYRIGHT:Yamagata International Documentary Film Festival Organizing Committee