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加速する変動
Accelerated Development - In the Idiom of Santiago Alvarez
アメリカ/1999/英語、スペイン語/カラー、モノクロ/16mm/56分

監督・脚本・撮影・編集・録音:トラヴィス・ウィルカーソン
製作:スーザン・フィンク
製作会社・提供:アップ・フロント・フィルムズ
(Up Front Films)
23414 Magic Mountain Parkway, #1210
Valencia, California 91355, U.S.A.
Phone & Fax:1-661-799-9959
E-mail:upfrontfilms@earthlink.net

 
トラヴィス・ウィルカーソン
Travis Wilkerson


1969年コロラド州デンバー生まれ。大学で比較文学を学んだ後、映画製作に転向。『Hands』『Hanoi Diary』をはじめとする短編実験映画の数々を発表。『加速する変動』は初の長編映画である。現在は、カリフォルニア・インスティテュート・オブ・ジ・アーツで修士課程に在籍中。製作中の次作『3-7-77』は、いまだ未解決の、1917年、モンタナ州ビュートにおける急進派労働組合オルガナイザー、フランク・リトル殺害事件を題材としている。

キューバの代表的ドキュメンタリー映画作家サンチャゴ・アルヴァレスの生涯を通 して、激動の20世紀を描いた作品。アルヴァレス監督(1919〜1998)は、ハバナ大学で哲学と文学を学んだ後にアメリカに留学、そこで帝国主義の実態を知った。1950年代に始まったばかりのキューバ・テレビで音楽番組を製作しながら、バティスタ独裁体制に対する反対運動に参加、革命後に創立されたキューバ芸術映画産業庁(ICAIC)に入って映画を学んだ。そして1961年以来、キューバ社会と抑圧された第三世界を撮り続けながら、実験精神に富んだドキュメンタリー映画を発表、海外でも高い評価を受けてきた。そのアルヴァレス監督の生涯を10章仕立てでたどった本作は、アルヴァレス監督の表現方法を用いながら、彼の作品断片と言葉を引用して組み合わせていく。それは、映像と言葉、また音楽との対位 法的な実験的構成であり、またアルヴァレス監督が描いた20世紀の激動する世界を新たな視線で再構築する試みでもある。タイトルの『加速する変動』とは、革命後のキューバ社会の加速する変動によって映画製作に向かったという意味のアルヴァレス監督の言葉である。 [村山匡一郎]


【監督のことば】
サンチャゴ・アルヴァレスは、あらゆる映画がものごとに―政治的に、美的に―介入するものとして機能すると見抜いていた。『加速する変動』で、私はサンチャゴ・アルヴァレスの映画の立場から介入することにした。
それはいったいどういう映画なのだろう?常に政治的で、しばしば教示的だ。遊び心たっぷりのときもあれば、時には恐ろしくまじめだ。そこには、怒りと、苦い皮肉、そしてほとんど制限のない連帯の精神にあふれている。騒々しく、あるいは静寂であり、短いときも、壮大なときもあり、簡潔かと思えば多弁だ。即物的になる傾向もあるが、詩のように雄弁になることもできる。完璧さは決して求めない。後世に残るなどということを考えて作られては、決していない。その映画は、この場の、現在のために作られている。その中で世界は常に変わり続け、また変わることのできるものだ。使える手段はすべて使われている。これはしばしば、映画がほとんど何もない中で作られていることを意味する。「写 真2枚と、音楽、それに編集機をくれ」とアルヴァレスは言った、「そしたら映画を作ってやる」。そしてでき上がったのは、何という映画だろう!
『加速する変動』は、端的に言えば、称賛の身振りだ。そこで副題に『サンチャゴ・アルヴァレス風に』と名付けた。

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