美麗少年
Boys for Beauty美麗少年
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台湾/1998/台湾語/カラー/デジタル・ファイル(原版:SD)/63分
監督、撮影、編集、録音、ナレーション:陳俊志(ミッキー・チェン)
音楽:陳建麒(チェン・ジエンチ)
提供:Backstage Studio
10代の同性愛の少年たちの社会との関わりと内面の苦闘を描いたオムニバス作品。米国留学を前に恋人と別れる決心をした小羽は、家族にカミングアウトした後の母子関係。名門高校の太っちょモーガンは、教師とクラスメートにカミングアウト後の学校生活。女装パフォーマーの美少年、小丙は、ドラァグクィーン業界で人気上昇中のスターとして。笑いと涙に満ちた3話。2011年にアジア千波万波の審査員として来形したミッキー・チェンを追悼する。(YK)
【監督のことば】台湾でクイアー・ドキュメンタリストとして、僕は生き残る道を見つけるべく頑張っている。補助金をもらったり、ゲイやレズビアンの部分を表し、カミングアウトしようと人を説得したり……。けっこう苦労するので、活動しているうちに僕は極端なほどの独立心を持ってしまう。だからこの作品は僕にとってクイアーな若者の無垢に戻る、大きな救いとなった。燃えてるあの少年たちから多くを学び、ドキュメンタリーという、僕を近頃力づけてくれるジャンルについて、もっと知ることができた。
15年前、僕のような台北に住むクイアーの高校生に声はなく、手本になるような大人のゲイやレズビアンもいなかった。クイアーには未来像がなかった。当時多くのクイアーの仲間が“間違った”相手、つまり愛してくれないストレートな人、を愛してしまっていた。中には若くして自殺しようとさえした人も大勢いた。年月が流れ、僕は遂に新しい世代、すばらしいクイアーの新世界を探索するべくカメラを手に取った。
この作品は、1999年に台湾で興行的に大ヒットした。クイアー・コミュニティー全体が動員され、この作品を伝説にするために惜しみない努力をした。また、最近の台湾は、持続的に台湾各地で映像ワークショップなどの活動を続けるドキュメンタリーの工作室、全景(YIDFF '99アジア千波万波スペシャルプログラムを参照)のおかげでドキュメンタリー運動が広がり、黄金時代を迎えている。そのような素晴らしい財産を携え、若い映画作家たちは更に多様で率直なドキュメンタリーを作る航海へと旅立つのだ。
クイアとジェンダーの問題にこだわり、台湾でドキュメンタリー映画を制作。1996年に初作品『Not Simply a Wedding Banquet』(1997)を共同監督。1999年のYIDFFアジア千波万波で『美麗少年』を上映、山形に初登場。本作は台北で劇場公開され興行として成功、1999年の台北映画祭でIndependent Spirit Award を受賞した。その後、『Memorandum on Happiness』(2003) などを制作。『非婚という名の家』(2005)は東京国際映画祭で上映。彼の作品は各地のゲイ・レズビアン映画祭、アジアン・アメリカン映画祭やドキュメンタリー映画祭で上映されてきた。2011年には自伝的な著作『Taipei Dad, New York Mom』を出版。ベストセラーになり、台北国際ブックフェア大賞を受賞し、舞台化もされた。YIDFF 2011ではアジア千波万波の審査員として再び来形。2018年8月に急逝。