ともにある Cinema with Us 2019
故郷から離れて――台湾における災害映像記録と「土地」をめぐる闘い
共催:台湾文化部、台北駐日経済文化代表処台湾文化センター
災害とともに生きる――台湾と日本、継続する映像記録運動
今回の「ともにある Cinema with Us」プログラムは、「継続する映像記録運動」をテーマの一つとして、長期にわたり災害の現場で記録を続けている映像記録者の仕事に改めて注目し、自然と人間の関係が劇的に変容しつつある現在、その只中で暮らす民衆の情動を捉えた作品群を上映する。
ここでいう「運動」とは、一つのイシューに向け、活動を総じていうのではない。大枠にいえば、制作者各人が目的を持って制作に取り組む「運動」、撮影者と被写体の協働や関係性による「運動」、制作された映画作品を観客が観ることで対話を重ねていく「運動」である。本来的に記録であり何ものかを伝える映画は、いつの時代も観客の前で解体と生成を繰り返している。わたしたちは、映画の中に残された事象から世界を捉えようと、他者と共有し、対話を試みてきた。記録の精神は撮影の現場に留まらず、継続していくのである。
今回は、日台国際共同プログラムとして、日本と同様、歴史上多くの災害に見舞われてきた台湾で制作された作品をともに上映する。災害から想いを巡らす人びとのあり様、忘却に抗う民衆の姿、郷土への想い。これらを映し出す映画を観ることから、トランスローカルな視座によって災害映像記録の重要性とその文化的意味を考え、新たな共有と対話を芽吹かせることができればと思う。