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[イラン]

気高く、我が道を

Gracefully

- イラン/2019/ペルシャ語/カラー/デジタル・ファイル/64分

監督、編集、録音、音響:アラシュ・エスハギ
撮影:アリヤ・アザドラヴェシュ
製作:タラ・アザドラヴェシュ
配給:Venera Films

牛を飼い、田植えをしながら田舎暮らしをしている80歳の男性。農作業を終えると念入りに化粧し、女装してダンスを始める。ライブ演奏の巡業やキャバレーでミュージシャン仲間と踊っていたが、革命後は踊ることが厳しくなった。別々に暮らす息子たちは理解し応援してくれるが、二人暮らしの妻には呆れられている。革命前の華やかな思い出を胸に、結婚パーティーや慰問先の病院で踊るのが生きがい。牛舎では牛を愛でながら、ひとり嬉々として踊る。(YK)



【監督のことば】踊ることは、喜びと幸せの象徴だ。そのため私は、ただ踊ることに人生を捧げた人物を探していた。もちろん、この国では1979年の革命により踊ることが禁じられたので、そのような人物を見つけるのはとても難しい。この映画の主人公は、もうほとんど残っていない革命前のダンサーの一人だ。

 すでに述べたように、イランでは踊ることが禁じられている。禁止された主題を映画にするのは至難の業だ。女性ダンサーを見つけるのはさらに困難なので、私は女性の役割を演じる男性ダンサーを探すことにした。女性の踊りは極めて不適切であり、不謹慎であると見なされており、女性は人前で姿をさらすことを許されていない。そのため、踊りに限らず多くの場面で、男性が女性の役を演じることになった。祝いの席や集まりで、女装した男性が踊りを披露する。しかし1979年の革命で、女性の踊りだけでなく、女装した男性の踊りも禁じられた。私はこの禁断の主題と、禁止によって鬱屈した人生を送る一人の人物と向き合うことになる。


アラシュ・エスハギ

1976年イラン生まれ。アッラーメ・タバータバーイー大学卒業。専攻は文学。映画監督、リサーチ、脚本、編集、録音で20年のキャリアがある。