アジア千波万波 |
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アジア千波万波 特別招待作品 審査員 |
赤道雨
The Red Rain on the Equator-
マレーシア、台湾/2010/中国語/カラー/ Blu-ray(SD)/132分
監督:呉康豪(ノーヴァ・ゴー)
撮影:呉康豪、陳建軒(アルフィー・チェン)
音楽:徐蔡亮(ジェリー・スー)
製作:陳建軒
提供:呉康豪
母からの手紙で、親戚の過去と、故郷ボルネオ島で革命運動が起きていた事実を知った監督。マレーシア各地での独立運動、その後、革命運動に身を投じた元闘士の話を掘り起こし、忘れ去られていた歴史を明らかにしていく。回想と並行し、当時の山中での軍事訓練と生活を記録したプライベート・ビデオからは、今では普通の生活を送る彼らの青春が蘇る。侵略の歴史の舞台を引用しながら、赤道直下に生きる華人アイデンティティを探る。
【監督のことば】私は自分のことを、映画監督というより、むしろコレクターだと思っている。ただし、物を集めるのではなく、物語を集めるコレクターだ。そんな私のカメラの前に現れた共産主義者たち。彼らの物語のなんとすばらしいことか! 半世紀もの間、続いていた革命という動乱の時代にあっても強い信念を持ち、美しい夢を心から信じていた。失敗に終わったが、時の流れの中には、美しい何かが残されてきた。彼らは道を行く普通の人々とまったく変わらないように見える。しかし、彼らの目をのぞきこむと、違いがそこにはある。絶対に彼らから奪うことのできない何かがそこにあるのだ。彼らは、人知を超えたスペクタクルを経験した。
どんな革命においても、「すばらしい世界」を実現することはできない。しかし、どのような革命でも、すばらしい何かを生みだすことができる。そして革命が終われば、そこにはすばらしい思い出が残る。人々が革命を信じているかぎり、決して消えることのない思い出だ。
呉康豪(ノーヴァ・ゴー) エキゾチックですばらしい文化が色濃く残る土地、サイチョウで有名なボルネオ島で生まれ育つ。1999年より、国立台湾芸術大学でヴィジュアル・コミュニケーションを学ぶ。台湾留学中、当時盛り上がりつつあったインディペンデント映画シーンに影響を受け、数多くの短編映画のプロジェクトに携わる。2008年にボルネオに戻り、初の長編ドキュメンタリーとなる本作の撮影を開始した。 |