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アジア千波万波
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  • 審査員
  • 瀬々敬久
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  • 審査員
    瀬々敬久


    -●審査員のことば

     大学生の頃、小川プロの作品を自主上映したりした。映画の世界に憧れはあったがドキュメンタリーだけには手を出すまいと思った。撮影場所に住み生活を共にし、人生を賭する小川プロのような仕事は自分には無理だと思ったからだ。それでも卒業してバイトをやりながらフラフラしていた頃、『1000年刻みの日時計』の撮影の手伝いに山形の小川プロへ佐藤真さんたちと一緒に1週間ほど行った。佐藤さんはまだ制作会社の下働きをしていた頃で、その数年後に『阿賀に生きる』を作る。僕はといえば、ピンク映画の世界に入り監督をやり始めた。そのうち人に誘われテレビ番組でドキュメンタリーを作るようになった。小型のビデオカメラで撮れるようになり、人生を賭けるようなやり方でなくても作れると思ったからだ。フィクションもドキュメンタリーも、そんなに明確な境界はないのだと思うようにもなった。どちらも世界を発見する瞬間に興奮がある。今回、小川プロのあった山形で色んな映画に出会えることを楽しみに思っている。でも、一方では怖い。思えば小川紳介さんも佐藤真さんも、もうこの世にはいない。やはりドキュメンタリーは命を削る仕事なのかも知れない。


    瀬々敬久

    1960年、大分生まれ。京都大学文学部哲学科在学中に『ギャングよ 向こうは晴れているか』(1985)を自主製作し注目を浴びる。助監督を経て『課外授業 暴行』(1989)で商業映画監督デビュー。以降、劇場映画から、ドキュメンタリー、テレビ、ビデオ作品まで様々な映像作品を発表している。『ヘヴンズ ストーリー』(2010)が第61回ベルリン国際映画祭で国際批評家連盟賞とNETPAC賞(最優秀アジア映画賞)、『アントキノイノチ』(2011)が第35回モントリオール世界映画祭でイノベーション・アワードを受賞。


    ドキュメンタリー 頭脳警察

    Documentary Zuno Keisatsu

    - 日本/2009/日本語/カラー、モノクロ/Blu-ray(SD)/314分

    監督:瀬々敬久 
    企画:須田論一 
    撮影:西久保弘一、芦澤明子
    編集:今井俊裕 
    整音:有元賢二 
    製作:石毛栄典
    提供:トランスフォーマー
    www.transformer.co.jp

    1969年12月、PANTAとTOSHIを中心に結成されたバンド「頭脳警察」。カメラは2006年から2008年に再結成するまでの3年間を追い、結成から現在までの2人の活動や貴重なライブ映像を中心に、現在進行形としての「頭脳警察」の軌跡を3部に渡って描く。

     「頭脳警察」の歴史と、現在と過去の2人がそれぞれに交錯する第1部。PANTAの母親の戦争体験をきっかけとして、戦後史からパレスティナ問題へとつながっていく第2部。そして2008年の京大西部講堂でのライブに向けて疾走する第3部。