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アジア千波万波
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  • 瀬々敬久
  • 陳俊志(ミッキー・チェン)
  • [インドネシア]

    監獄と楽園

    Prison and Paradise

    - インドネシア/2010/インドネシア語/カラー、モノクロ/ Blu-ray(SD)/93分

    監督、脚本、製作:ダニエル・ルディ・ハリヤント
    撮影:ダニエル・ルディ・ハリヤント、IGK クトゥット・トリスナ・プラマナ
    編集:ハリー・スティヤワン
    提供:ダニエル・ルディ・ハリヤント

    2002年10月のバリ島爆弾テロ事件を取材した元ワシントンポスト記者。かつて実行犯の1人と同じイスラム教の学校に通っていた彼の思いに突き動かされ、監督は共に犠牲者たちの遺族、加害者の家族、そして獄中の実行犯らの間を行き交い、彼の個人的な思いを重ねていく。鉄格子を挟んで、カメラに向かって、ほとばしる実行犯らの言葉から、同じイスラム教徒の彼らがテロに向かった理由を求め、原理主義と向き合う。



    【監督のことば】本作はテロリストの家族と、被害者の家族の間にある関係性を描いたドキュメンタリー映画だ。映画に登場するテロの加害者と被害者の家族は、実際に同じバックグラウンドを持ち、同じイスラム教徒だ。それにも関わらず彼らは、テロリズムと聖戦(ジハード)に関しては見解を異にしている。

     インドネシアは昔から、テロリズムあるいは、それに関する議論にとって重要な拠点だった。本作は、この問題を近くから丁寧に描くこと、そして聖戦主義者とその家族の問題を世に知らせることを目指している。テロリズム、聖戦、イスラム系政治運動、そしてテロとの戦いにまつわる問題。そこにはどんな議論が存在するのか。そしてその議論が、加害者と被害者双方の子どもたちの未来に、どんな影響を与えるのか。私は登場人物の視点に立つことで、聖戦とテロリズムは別であるという、新しい見方を提示したいと考える。


    - ダニエル・ルディ・ハリヤント

    1998年のスハルト政権下で学生運動に参加。1999年には友人たちとシネマ・ソサエティというインドネシア映画の調査・研究を目的とした組織を立ち上げた。ジャカルタ国際映画祭(JIFFest)やインディペンデント・フィルム・コミュニティ(Konfiden)、インドネシア・ドキュメンタリー・パートナーシップ(イン・ドックス)などの運営にも参加。また、インドネシア国内の様々な映画コミュニティをサポートしている。環境問題や紛争解決をテーマとしたドキュメンタリー映画制作へ関心を持ち続けている。

    ジュゼッペ・トルナトーレの『ニュー・シネマ・パラダイス』はジャワ島でドライブ・イン・シアターをやっていた亡き父の思い出にまつわる作品である。好きな映画は黒澤明の『夢』、ヨリス・イヴェンスの『インドネシア・コーリング』、ロバート・J・フラハティの『極北のナヌーク』、レニ・リーフェンシュタールの『オリンピア』、ジガ・ヴェルトフの『カメラを持った男』。