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アジア千波万波
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  • 瀬々敬久
  • 陳俊志(ミッキー・チェン)
  • [ベトナム]

    柔らかな河、鉄の橋

    Hard Rails across a Gentle River

    - ベトナム/2010/ベトナム語/カラー/Blu-ray(SD)/45分

    監督、撮影:チャン・タイン・ヒエン、ファム・トゥー・ハン、 ドー・ヴァン・ホアン、チャン・ティ・アイン・フゥン
    編集:グエン・チン・ティ、ファム・ティ・ハオ、ジュリー・ブジオー
    製作:ジェイミー・マックストン=グラハム、グエン・チン・ティ
    整音:フランク・デムーラン 
    提供:DocLab(ハノイ)

    路上で野菜を売る女性、水浴びをする男たち、たむろする少年少女、カップルたち……。ハノイのロンビエン地域の鉄橋とそのたもとを緩やかに流れる河の周辺からは、下町のような息づかい、すれ違う人々の関係性さえも伺える。4人の監督が同じ日時に、それぞれのカメラの先で遭遇した人間模様を撮影し、モザイクのように紡がれた映像で、現代ハノイの庶民の生活が生き生きと描かれる。



    【監督のことば】高層ビルが立ち並ぶ都市の中心部からほんの1キロ離れたところ、ロンビエンではまるで別世界の生活が営まれている。ロンビエンの住人が語る全く別の分断された物語は周縁化された労働者や移民の過酷な人生を表している。

     2010年の夏、4人の映画監督と4人の写真家がそれぞれ3カ月間、ハノイ近郊のロンビエンに滞在した。結果として出来た映画である本作は、ロンビエンでの大規模な野外上映会「The Long Bien Picture Show」にて写真家たちの作品と併せて初上映された。ベトナムではアートや映画、写真を一般に公開するには例外なく政府検閲による認可を受けなければならない。この初上映の際に私たちは映画の一部分(「The Mouth Gets Wet」と名付けられた最終章全て)を、作品が撮影された場で、作品が描いた当の人々に向けて上映することを禁じられた。

     私たちはそれぞれ観察的アプローチをとり、観客に誠実で細やかな感情の動きを伝えるために、静かに、辛抱強く、できるだけ自然な方法でレンズを非日常と日常の両方の瞬間に向けた。私たちはそれぞれのやり方で住民たちの物語を理解し、共感しようと試みた。私たちはそれぞれ思い思いのロンビエンを記録した。混雑した都市を流れる河に沿って広がる砂浜、交通量の多い交差点と歩道を歩く3人の女性、夜になると闇市が開かれ恋人たちでにぎわう通りと、河の上を走る鉄道橋。このようなモザイク的なアプローチを通じて、人々が分かち合ってくれたこれらの物語や思いや感情は、私たちの生についての理解を深めてくれた。映画の登場人物は、路上の人生そのものなのだ。


    全員、ハノイのドキュメンタリー映画制作とビデオアートの拠点であるDocLabで学び、現在はそのメンバーである。


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    チャン・タイン・ヒエン
    ハノイ工業美術大学卒。8年間グラフィックデザインの仕事に携わる。現在はフリーで映像制作をする傍ら、DocLabのスタッフも務める。



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    ファム・トゥー・ハン
    ハノイ人文社会科学大学文化史科卒。ベトナム文化芸術研究所で研究員を務めた後、DocLabに参加。現在はフリーで映像制作をしながら、大学院で映画批評を学んでいる。



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    ドー・ヴァン・ホアン
    ハノイ演劇映画アカデミーの脚本科卒。現在はドキュメンタリーとフィクションの両方でインディペンデント映画制作のプロジェクトを進めている。



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    チャン・ティ・アイン・フゥン
    環境と開発の問題を中心にフリーで映像制作をしながら大学院で環境技術を学んでいる。