アジア千波万波 |
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アジア千波万波 特別招待作品 審査員 |
わたしの町
My Own CityMera Apna Sheher
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インド/2011/ヒンディー語/カラー/Blu-ray(SD)/67分
監督、脚本、編集:サミーラー・ジャイン
撮影:リーター・バネルジー
製作会社:Public Service Broadcasting Trust
提供:サミーラー・ジャイン
デリーの路上で交錯するジェンダー化された視線をカメラ・アイにし、男たちの視線にさらされる女性運転手の日常をスケッチする。監督自身の町でもある大都市を舞台に、混雑したバスの車中、街角、ハンドルの裏、木陰など、街の隅々から物語を紡ぐように、被写体から目をそらすまいと表情や動きを細やかに捉える。この町に住まう女の実経験を映像で見せるセンスが光る。
【監督のことば】人は自分が育った場所を知りつくしているものだ。隅から隅まで、その奥深くまで。そしてその場所自体に情がわく。
都会で生活する女性はどのように都会の空間を生き、都会の空間はどのように彼女を定義するのだろうか。人はどう空間とかかわり、その際、どれだけの自由を持ち、誰に監視されるのか。監視するものたちを観察することで、自分自身のまなざしを、自分自身を、解放することはできるのだろうか。
この作品には時々隠しカメラを利用した。秘密を暴くためではなく、「普通のこと」を見つめ直すために。撮影をつづけていくうち、受身の物静かなレンズを通して毎日を見つめる隠し撮りの、もろく粗い映像にどんどん自分が引き込まれていくのがわかった。
今回のプロジェクトは初めから、分析的/標準的/主張的な手法ではなく、経験的な方法で撮りたいと考えていた。その方が制約が少ないだろうと思ったからだ。テーマについて、私は手探りで、漠然と、多角的に思いをめぐらした。大事なのは常にその体験全体であり、分析することで得られる結論ではなかった。それは、さまざまなジェンダーの問題は生活の根っこに影響し、波及しているからだと言えよう。ジェンダーの問題に関与しない、影響されない領域などない。
また、ビデオは写されたものを実際に体験しているような感覚を生むことができる。普段は目に見えないものや、支配的なものの見方によって見えなくなっている多くのものを照らし出してくれる。私はこの隠された光景のかすかな手がかりを見てみたかった。そこから、多くの経験は水面下に潜み、隠されたままであることを理解したかった。こうしたものがごくシンプルに、言葉ではない形で表現できるかどうかを試したかった。この映画による体験が日常生活の細かいすき間を通って、見る人たちの人生のひだに染みこんでいけるために。
サミーラー・ジャイン これまで30年もの間、主にドキュメンタリーのエディターとして幅広く活躍、長編劇映画の編集経験もある。監督としての意欲作である『Portraits of Belonging』(1997)や『Born at Home』(2000)は世界中の映画祭やフォーラムで上映された。現在、母校であるFTII(インド映画・テレビ学院)をはじめとするさまざまな学校で映画制作を教えている。 |