亀井文夫特集 [劇映画]
母なれば女なれば
Become a Mother, Become a Woman-
1952/モノクロ/16mm(原版35mm)/100分
監督:亀井文夫
脚本:棚田吾郎
原作:徳永直
撮影:瀬川順一
編集:河野秋和
録音:丸山國衛
音楽:飯田信夫
美術:平川透徹
製作:寺田昌業、柏倉昌美
出演:山田五十鈴、神田隆、岸旗江、二口信一
製作会社:キヌタプロダクション
提供:独立プロ名画保存会
1950年の第四次東宝争議解決で、解決金として支払われた600万円のうち、200万円を資本金にして「キヌタプロダクション」が誕生、その第1回作品として劣悪な条件下で製作された。戦争で夫を失い、空襲で長男と別れた若い未亡人は、長男を探して歩き回る。2人の子どもをかかえ必死でミシンをふむ未亡人を励ます隣の部屋の2人兄妹。ある夜、兄妹の部屋に泥棒が入るが、警察がつかまえると未亡人が探していた長男だった。家に連れ帰り親子の一家団欒が始まる。未亡人を励ますうちに隣の兄の心に愛が育ち、結婚を申し込むが、噂が広がり長男は再びぐれ出す。未亡人は子どもへの愛情と恋人との再婚の岐路に悩むが、再び飛び出した長男を連れ戻し、新たな生活への強い決心をするのだった。作品としての評価は高くなかったが、溝口健二の『浪華悲歌』(1936)、『祇園の姉妹』(1936)などの大女優、山田五十鈴が汚れ役を好演した。