亀井文夫特集 [戦前のドキュメンタリー]
支那事変後方記録・上海
Shanghai-
1938/モノクロ/16mm/77分
撮影:三木茂
編集:亀井文夫
録音:金山欣二郎
現地録音:藤井慎一
音楽:飯田信夫
解説:松井翠声
製作会社:東宝文化映画部
提供:日本映画新社
溝口健二監督の『滝の白糸』(1933)、日蝕観測記録『黒い太陽』(1936)などで知られる名カメラマン・三木茂が、東宝文化映画部に移っての初仕事。三木は、大胆な移動撮影、パノラマ撮影などを駆使、戦跡に立つひとりの人間の目線で冷静に上海を描いた。当時の上海は、イギリス、フランス、ドイツそして日本の租界が隣接し、日本と中国との関係は緊張するばかり、排日抗日運動も盛んであった。事変後の廃墟となった街中や、郊外の揚子江の支流であるクリークでの激戦の跡地を丁寧に写すなど、三木の情感溢れる素材をもとに、構成力ある亀井が編集、日本最初の現地同時録音ドキュメンタリーの傑作となった。