亀井文夫特集 [劇映画]
女の一生
A Woman's Life-
1949/モノクロ/16mm/101分
演出:亀井文夫
脚本:水木洋子、八住利雄
原作:徳永直(『ひとりだち』より)
撮影:宮島義勇
編集:長沢嘉樹
録音:保坂友明
音楽:飯田信夫
美術:安倍輝明
製作:伊藤武郎、井出俊郎
出演:岸旗江、沼崎勲、志村喬
製作会社:東宝、藤本プロ
提供:東京国立近代美術館フィルムセンター
この映画は『戦争と平和』に続いて製作されたが、「来なかったのは軍艦だけ」の名文句で有名な第三次東宝争議が始まり中断。争議終結後の最初の作品として1948年11月、撮影が再開された。この映画の興行収入から争議の解決金として1500万円を貰い受けるとの経営陣との約束もあって、興行的に当てる映画をめざした。印刷工の女工が結婚しても共稼ぎで、実家には仕送りをしなければならず、姑には虐待され妊娠しても職場を離れることができないという不合理な社会組織と、因習的な家族制度に対する激しい怒りを描く。大胆にも白昼堂々の接吻シーンや、当時タブー視された裸体の描写など、意欲的な試みを行うが賛否両論もあった。この作品を最後に亀井は東宝を退社。以降、民主映画のために独立プロの道をめざした。