亀井文夫特集 [戦前の仕事]
姿なき姿
Shape without Shape-
1935/モノクロ/16mm/29分
編集:亀井文夫
作曲:深井史郎
企画:東京電燈
製作会社:写真化学研究所(P.C.L.)
提供:東京国立近代美術館フィルムセンター
東京電燈株式会社の50周年記念として製作されたPR映画。「古きものと新しきものとの戦ひに破れし文化の戦士――おゝこの勇ましき姿よ!」と、エイゼンシュテインの『全線――古きものと新しきもの』(1929)へのオマージュらしいタイトルが入り、古い蒸気機関車が去って、新しい電気機関車が勇壮に走る。まずは水力発電所の実例を紹介。水源となる富士山など美しい冬の情景を積み重ねて、次に電力需要の不足を補う火力発電所を紹介。大井川発電所建設工事の様子や、競技場の照明、舞台照明、映画館など電気が活躍する現場を紹介。この電気という「姿なき姿」を生み働かせるために、吹雪を冒して巡回する保線夫の隠れた努力が潜んでいると説く。今日のPR映画では考えられないが、保線夫が雪の中に転倒する場面で終わる。