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スペインの大地
The Spanish Earth
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1937/アメリカ/モノクロ/52分/35mm
監督:ヨリス・イヴェンス
撮影:ジョン・フェルノ
編集:ヘレン・ファン・ドンゲン
音楽:マーク・ブリッツステイン、ヴァージル・トムソン
ナレーション執筆:アーネスト・ヘミングウェイ
ナレーター:アーネスト・ヘミングウェイ
製作会社:コンテンポラリー・ヒストリアンズInc.
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製作会社のコンテンポラリー・ヒストリアンズはスペインで内線のドキュメンタリーを撮影するための資金集めを目的に設立された会社。イヴェンスはジョン・フェルノとジョン・ドス・パソス(後に撮影隊を離れ、代わりにアーネスト・ヘミングウェイが参加)を連れて、マドリッド近郊のフエンテドゥネアの共和国軍陣地を撮影した。この作品はスペイン内戦についてのもっとも重要な映画となり、またイヴェンスの全経歴のなかでも重要な1本とされる。彼の多くの作品と同様に、ここでもイヴェンスは人々の日々の生活と、彼らの生存のための闘いの間に絶妙のバランスを見いだした。主にジョン・フェルノの撮影した強烈な画面
が、ヘレン・ファン・ドンゲンの力強い編集とアーネスト・ヘミングウェイのナレーションとあいまって、この作品をドキュメンタリー映画の傑作とした。
『スペインの大地』と『スペインの大地』とフランス語の『スペインの大地』
THE SPANISH EARTH, THE SPANISH EARTH, AND TERRE D'ESPAGNE
ヨリス・イヴェンスの完全なフィルモグラフィーを編纂することが、ヨリス・イヴェンス財団の次なる事業なのだが、これは簡単な仕事ではない。ただの映画のリストでは済まないのだ。彼の映画の多くが、検閲や配給業者のお陰で、大小さまざまな程度のカットをされて上映されている―そして時には、ヨリス・イヴェンス本人のお陰で。『スペインの大地』に幾つかの異なるヴァージョンが存在しているという事実がこのことを説明するいい例になるだろう。
この映画の最もよく知られているヴァージョンでは、アーネスト・ヘミングウェイの書いたナレーションをヘミングウェイ自身の朗読で聞くことができる。これが1937年に公開されたヴァージョンだ。最初の公開上映は7月13日にロサンゼルス・フィルハーモニック・ホールで開催された。当初の計画ではヘミングウェイの書いたナレーションを、オーソン・ウェルズが朗読するはずだった。これはコンテンポラリー・ヒストリアンズのメンバーだったアーチバルド・マクリーシュの提案だ。ヘミングウェイはかなり長い原稿を書いており、オーソン・ウェルズがこれを受け取った時にはすでにイヴェンス自身の手でかなり短縮されていた。ウェルズはそれでもまだ何カ所かが冗長だと感じ、彼が録音する前にさらに若干の変更があった。この録音とヘレン・ファン・ドンゲンによる音声編集は1937年6月には完成し、観客の反応を試すためにロサンゼルス近辺で何度かプライベートな試写
会が開かれた。コンテンポラリー・ヒストリアンズのメンバーの何人か(リリアン・ヘルマン、ハーマン・シャムリン、ドロシー・パーカーなど)は、ウェルズの声が滑らかすぎて画面
上の映像の力強さには合わないと感じた。そこでヘミングウェイ自身が自分の文章を読むべきだということになったのである。何と言っても彼は前線の実情を自ら直接体験していたのだから。批評によれば、このヴァージョンはより誠実で、ウェルズのものほど“洗練されて”は聞こえなかったと言うことである。7月8日にはイヴェンス、ヘミングウェイ、それにマーサ・ゲルホーンがホワイト・ハウスに招待されて映画をルーズヴェルト大統領夫妻に披露した。この時使われたのはウェルズ版で、この5日後に公開されるヘミングウェイ版の音響編集がまだ終わっていなかったせいだと思われる。
世界各国の検閲のお陰で、さらに他のヴァージョンもたくさんある。たとえば東ドイツ版では、グスタフ・レグラーの登場する場面
がカットされているが、これは反ファシズムの作家だったレグラーが共産主義を拒否していたからだ。もっとも悪名高いのは1938年にフランスでジャン・ルノワールが行った改編で、映画は10分も短縮されてナチス・ドイツへの直接的な批判が「隣国の機嫌を損ねないために」取り除かれた。
他の国々でもカットは行われた。ポスト・プロダクションや配給、それに検閲のお陰で、ひとつのタイトルの背後に映画のさまざまに異なったバージョンが隠れているという意味が、これでよく分かると思う。[ケース・バカー]
■解説■
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