我ら辺境に生きる
We Corner PeopleHami Kunako Manche
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ネパール/2007/ネパール語/カラー/ビデオ/49分
監督、脚本、編集、製作:ケサン・チェテン
撮影:シダータ・サキヤ
編集:メリッサ・ハッカー、プレム・ビカ
録音:プレム・ビカ
提供:ケサン・チェテン
子どもも大人も動物も自らを辺境の民と謳う、電気もお店もない、川が孤立させるネパールの辺境の村。川の増水によって度々犠牲者が出る川に、橋作りが始まる。和気あいあいとした橋作りの様子、シャーマニズム信仰とキリスト教宣教、出稼ぎに行ったクウェートからの手紙や国境近くの毛沢東派と政府軍の争いについて呟き、貧しさにあえぐ生活の狭間で人生を謳歌している奔放な住民たちを描く。やがて橋が完成し、踊り祈る村人たちの前に架かる霧の中の橋は幻想のようなひとときの平穏を村にもたらす。
【監督のことば】何十年もネパールで橋の建設に携わっているスイスのNGO「ヘルヴェタス」から映画の制作を要請された時、私は躊躇してしまった。すでに数千の橋が建設されていて、目新しさはなかったからだ。しかしそこで、あるアイデアが浮かんだ。シンプルなアイデアだ。私は、橋ではなく村についての映画を撮ろうと決めた。
その村には、たしかに独自の特徴があった。極めて貧しく、まったく近代化されていない。電気もなく、仕事もなく、食べ物にも事欠き、店も一軒もない。そして村の外には無人地帯が広がっている。村人は、「この辺境に住む私たち」という言葉を好んで使っていた。このように困窮した村はたくさんあるが、都市に住む人の多くが知らない、興味深い事実がある。それは、村人が自分たちの状況をどう見ているかということであり、それが彼らの文化、行い、自己像に関係していて、橋作りの協力を拒むことさえあるということだ。
私にとって、この村の物語が特別なのは、橋の利点は何かというような答えの分かりきった質問をした時に、ある人が、そして別の人が、また別の人が、何気なく発した一言だ。「川が若い花嫁を奪った」。私はそれを聞いて、若い女性の死が彼らの感情を動かし、その悲劇が頭から離れず、橋を求める強い動機になっているのだと理解した。たとえ村人たちが、はっきり言わなかったにしても。この個人的なつながりによって、私たち外の世界からやって来た者は、この村を顔のないただの貧しい、何百とある開発が必要な村のひとつではなく、それぞれが感情を持つ個人が集まった独特の存在だと気づかされるのだ。
ケサン・チェテン 『我ら辺境に生きる』は、2006年カトマンズ国際山岳映画祭で最優秀ネパール・ドキュメンタリー賞を受賞し、バンガロールで開催された2007年第2回水に関する国際映画祭ボイス・フロム・ザ・ウォーターのオープニング作品に決まる。『On the Road with the Red God: Machhendranath』は、2006年ケンダル山岳映画祭で大賞を受賞し、フランスの民族誌映画祭で佳作に選ばれ、2005年にネパール映画協会からこの10年でもっとも優れたドキュメンタリーに選出される。『We Homes Chaps』は、フィルム・サウス・アジアとマーガレット・ミード・フィルム&ビデオ・フェスティバルで特別上映される。ティーンエイジャー向けの短編フィクション『Listen to the Wind』で脚本と共同監督を担当。自身がオリジナル脚本を書き、日本のNHKと共同製作された『欲望の仮面』は、2001年アカデミー賞ネパール代表に選ばれ、ネパール映画協会の最優秀脚本賞を受賞。近日公開される『Karma』のオリジナル脚本を執筆。 |