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    関西公園〜Public Blue

    Public Blue

    - 日本、ドイツ/2007/日本語、英語/カラー/ビデオ/70分

    監督、撮影、録音、編集、製作:アンケ・ハールマン [AHA]
    撮影:ヘックス、マーク・クラーメル、アドリアーン・メンガーイ
    ナレーター:アンケ・ハールマン、ヘックス、由夏・ホフマン
    翻訳:ヘックス、由夏・ホフマン
    提供:アンケ・ハールマン [AHA]

    2006年の行政による大阪の各公園における強制排除を目前にして、支援者と共に抵抗運動を行う関西の野宿者たち。福沢諭吉、丸山真男などの言説を引き、日本における「公園」「公共」「闘争」「社会秩序」「自由」への考察を試みつつ、公共空間にブルーシートを張って住む「野宿者」を定義づけていくことで、この行政代執行に対する疑問を独自の方法で投げかける。練り抜かれた工夫あふれる楽しい画面作りが導く日本的な事情への卓越した分析は、今の日本で様々に起きている権力による排除へとふと考えを及ばせてくれる。



    【監督のことば】大阪の公園や河川敷に行くと、青いテント村や、青いビニールの防水シートに覆われたテント村を、いたるところで見ることができる――公園内に点在しているところもあれば、列になって並んでいるところも、または集まって小さなコミュニティーを形成しているところもある。ホームレスという言葉だけでは、これら野宿者(関西のホームレスは自らをこう呼ぶ)の状況を十分に表現することはできない。野宿者は、公園の住人だ。公共の場所を占拠している。しかし、日本社会は伝統的に、市民の広場としての公共の場所に対する知識と理解をほとんど持たないため、そこに暮らすホームレスの人々もまた軽んじられている。

     このビデオ・エッセイ『関西公園〜Public Blue』は、大阪の野宿者と活動家との共同作業で生まれた。ドキュメンタリー映画としては、彼らの自己理解や政治活動を追っている。そして映像エッセイとしては、日本の公共観や政治観、日本社会の「ウチ」と「ソト」を描きだしている。

     予算がまったくなく、シンプルなビデオカメラだけでこのプロジェクトを始めたのは、2006年に公園からホームレスのテントが撤去されるという危機が迫ったことと、関係者たちの願いがあったからだ。警察と市の職員は、ついに撤去を実行した。しかし現在、このドキュメンタリーは、新たな大阪の野宿者撤去に反対する道具として用いられ、日本社会の周縁に暮らす人々が自らの表現を届ける手段になっている。


    - アンケ・ハールマン [AHA]

    ドイツのハンブルクとベルリンに在住。アーティスト、映画作家、哲学者。 [AHA]は「アンケ・ハールマンと共作者たち」という意味。『関西公園〜Public Blue』の共作者は、ササヤンさん、ナカニシさん、フジイさん、タチバナさん、タナベさん、ニシタニさん、オウジョウさん、ノマさん、釜ヶ崎パトロール、釜ヶ崎医療連絡会議、ヘックス、アドリアーン・メンガーイ、マーク・クラーメル、由夏・ホフマン、その他の人々。

     哲学、文学、人類学、芸術学を学び、哲学の博士号を持つ。ビデオ、写真、インターネット、マンガ、インスタレーション等、様々な媒体を用いるため、その作品は主にアート・スペースで発表されている。『関西公園〜Public Blue』もドイツではインスタレーションとして公開されている。2006年カッセル・ドキュメンタリー映像祭、2007年ベルリンで行われたglobale07にビデオ作品を出品した。