戦争でも希望は死なない
Hope Dies Last in War-
インド/2007/英語、ヒンドゥー語、ベンガル語/カラー、モノクロ/ビデオ/80分
監督、脚本、製作:シュプリオ・シェーン
撮影:ロンジョン・ポリト
編集:ショイコト・S・ラエ
録音:S・スブラマニアン
製作会社、提供:パースペクティヴ
1971年12月、第三次インド・パキスタン戦争が勃発、東パキスタンはバングラデシュとして独立した。それから30数年がたった今でも本国に送還されず安否も不明な戦争捕虜たちがいる。彼らの存在を否定する両国政府に対して、年を取らないままの兵士らの写真を胸に抱いて送還を求め続ける家族ら。触れることのできない、愛する人たちの残像を確かめる終わりのない時間が流れる。結婚して1年半後に夫と別れた妻、1歳の時に父親を失った娘、年老いても待ち続ける弟たち……。30年以上の空白と同じ大きさだけの愛が画面から溢れる。
【監督のことば】2004年12月5日、私はビジャイ・ヴァサント・タンベイ航空大尉夫人のダマヤンティ・タンベイに同行してアンバーラー駐屯地に向かっていた。33年前のちょうど同じ日に、彼女の夫が最後に飛び立った場所だ。帰り道の夜、夫人は在りし日を思い出し、深く物思いに沈んでいた。車内の沈黙に息が詰まりそうになった私は、ふたりの恋人時代について質問を始めた。すると場の空気が一変し、夫人は古き良き時代の思い出をいろいろと語りだした。彼女の目は輝き、表情は幸せと喜びで満ちた。そして、私は訊ねた。「よくそんなに長い間、ひとりで待っていられますね……。ウィニー・マンデラだって、夫のネルソンの帰りをそんなに長くは待たずにすんだのに」。彼女は答えた。「夫への無条件の愛があったから、私は終わりのない旅を続けることができたのですよ」。まさにその瞬間に、私は確信した。このラブストーリーを、世界に向かって語らなければならない。戦争の時代を生き残ったこの愛の物語を。なぜなら、愛がある限りそこには希望があり、戦争でも希望は死なないからだ!
シュプリオ・シェーン ジャーナリスト出身のインディペンデント映画作家。『Wait Until Death』、『Dream of Hanif』、『The Nest』、『Way Back Home』等のドキュメンタリー映画を監督、製作。イギリスのコモンウェルス映画祭のBBC賞、ムンバイ国際映画祭のゴールデン・コンチ賞、プサン国際映画祭のAND(アジア・ネットワーク・オブ・ドキュメンタリー)の製作助成をはじめ数々の賞を受賞し、国内でも多くの賞を受ける。サンダンス・インスティテュートとヤン・ヴリーマン基金から映画製作の資金提供を受けている。彼の代表的な長編ドキュメンタリー『Way Back Home』は、彼の両親がバングラデシュの失われた故郷を50年ぶりに訪ねる旅を描き、インド分割のこの悲劇を扱った最初のドキュメンタリー映画となった。また、批評家と一般の観客の両方から高く評価され、多くの賞を受賞。世界各地でも上映され、上映は100回以上を数える。ベルリン国際映画祭タレントキャンパスの卒業生。 |