翡翠之城
City of Jade-
台湾、ミャンマー/2016/ビルマ語、中国語(雲南方言)/カラー/Blu-ray/99分
監督:趙德胤(チャオ・ダーイン/ミディ・ジー)
脚本:趙德胤、吳佩綺(ウー・ペイチー)
撮影:趙德胤、王福安(ワン・フーアン)
編集:趙德胤、林聖文(リン・シェンウェン)
エグゼクティブ・プロデューサー:施悅文(シー・ユェウェン)
製作:王興洪(ワン・シンホン)、趙德胤、 何美瑜(ホー・メイユィ)、林聖文
製作会社、提供:Seashore Image Productions
ミャンマー、カチン州で翡翠を採掘する兄や採掘者たちを撮りながら、監督は自らの家族のことをナレーションで語る。母や祖父はドラッグで捕まったが、兄もドラッグで刑務所に収監された。16年ぶりに兄に会って、翡翠採掘に同行する。現在のミャンマーの社会状況も語られ、断続する政府軍とKIA(カチン独立軍)との戦争のただ中で、機械やスクーターを押収されたり……。兄へのアンビヴァレンツな思いが切々と伝わる。
【監督のことば】
写真
自宅の居間に、何年も前から一枚の写真が掛けられている。煙草を吸う父がカメラの方を向き、その後ろでは母が麺を茹でている。背景には、市場のぬかるんだ路地が見える。母によれば、この写真は、1990年に変な写真家が翡翠の街で撮ってくれたものだという。
後年、私は兄を追って翡翠の街へ行き、ドキュメンタリーを作ることになる。カメラを持った私を見て、そこにいる人たちはいつも、自分たちの写真を撮ってくれと頼んできた。
ファインダー
本作の撮影中、ファインダーを覗けなくなることが何度もあった。単純に、そこにはファインダーなどないかのように見えたのだ。「フレーム」や「構図」のような観念も、「美学」とか「詩的感情」とか「イメージ」といった――映画研究で分析されるような――概念も、そこには存在しないように思われた。思えば当時、こうしたものは何の意味もない、ましてや目の前で起きていることを何ら説明する手助けになるものではなかったのだ。
1982年、ミャンマー生まれ。16歳で台湾に移住、デザインとアートを学び、国立台湾科技大学より修士号を取得。2006年には大学院修了作品『Paloma Blanca』で、釜山国際映画祭やイェーテボリ映画祭をはじめ、いくつかの映画祭に招待される。2011年から2014年にかけて、『Return to Burma』『Poor Folk』『Ice Poison』の3本の長編を、すべて撮影期間10日以内、10,000USドル以下の予算で製作。『Return to Burma』は2011年、釜山映画祭ニュー・カレンツ部門、ロッテルダム映画祭新人部門に出品。『アイス・ポイズン』は2014年に、エディンバラ映画祭で外国映語画賞、スウェーデン・ピース・アンド・ラヴ映画祭で監督賞、台北映画祭で監督賞とプレス賞をそれぞれ獲得したほか、台北金馬奨で監督賞にノミネートされ、翌年の米アカデミー賞外国語映画賞にも台湾代表としてノミネートされた。2015年には、カンヌ映画祭アトリエ部門で『マンダレーへの道』の脚本が評価され、アルテ製作助成金を獲得。多作な監督であることを自ら証明するように、ミャンマー、台湾、タイ、中国で活動している。