ともにある Cinema with Us 2017
特別企画 アーカイブをめぐる対話
ディスカッション
助成:損保ジャパン日本興亜「SOMPO アート・ファンド」(企業メセナ協議会 2021 Arts Fund)、
企業メセナ協議会 GBFund 芸術・文化による災害復興支援ファンド、公益財団法人カメイ社会教育振興財団(仙台市)
“なかったこと”に抗うために
あのとき生まれた子どもが小学校に上がろうかという年月が流れた。本特集は、2011年3月11日の東日本大震災と津波、そして原発事故という未曾有の経験と課題から生まれた作品を取り上げるプログラムの4回目である。6年が過ぎる間に「震災」がどこの震災を指すか但し書きが必要になるほど大地は揺れ、「復興」とは誰のためなのか疑わざるを得ないほど政治は揺れている。だが、そこに向き合う映画を通じて、私たちは記憶の風化と変化への慣れに抗い続けたいと思っている。そして、震災をめぐるドキュメンタリーが映画館とテレビを軽々と超えていくこと、また、他の部門でも東日本大震災をめぐる作品が取り上げられていること(今年は、インターナショナル・コンペティション『願いと揺らぎ』、日本プログラム『かえりみち』『BETWEEN YESTERDAY & TOMORROW Omnibus 2011/2016』)を踏まえ、この出来事がドキュメンタリーの現在に何をもたらしつつあるのかを問い始めようと思う。
最後に、この特集のもうひとつの取り組みとして、3年目を迎えた「311ドキュメンタリーフィルム・アーカイブ」をより押し進めるべく、カンボジアのボパナ視聴覚リソースセンターとの連携により、映像アーカイブを通じた記録と継承の問題について考える。