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[日本]

創造の発端 ―アブダクション/子供―

The Beginning of Creation: Abduction / A Child

- 日本/2015/日本語/カラー/Blu-ray/18分

監督、脚本、撮影:山城知佳子
編集:山城知佳子、平田竜馬
録音:砂川敦志
音響:高木創
エグゼクティブ・プロデューサー:越後谷卓司
企画:愛知芸術文化センター
制作:愛知県美術館
製作会社、提供:水上の人プロダクション
suijonohito.com

アーティスト集団ダムタイプの元メンバーであるパフォーマー、川口隆夫による『大野一雄について』の創作プロセス。舞踏家の故・大野一雄の伝説的な舞台の記録映像から大野の動きを読み取り、自身の肉体で再現する。作者の視線は、立ち現れた、得体の知れない剥き出しの身体に密着する。

【監督のことば】舞踏家の故・大野一雄の上演記録ビデオを見て完全コピーし、舞台の再現に挑むダンサー、川口隆夫を記録するところから始まる映画です。亡き人の踊り(=身体)をどのように呼び寄せ、自身の身体に重ね合わせ、取り込んで踊るのか。完全なるコピーを目指して近づこうとするほど立ち現れてくる個体の絶対的な差異。《他者の経験を継承することは可能か?》という私自身が持ち続けてきたテーマを、川口隆夫の創作のプロセスに重ね、身体内部に持ち込まれた他者という異物との葛藤、分裂、溶解、そして新たな肉体の獲得を見つめていく。継承というより、創造といえるような過程を旅するように撮りました。



肉屋の女

A Woman of the Butcher Shop

- 日本/2016/日本語/カラー/Blu-ray/27分

監督、脚本、撮影:山城知佳子
編集:山城知佳子、砂川敦志
製作会社、提供:水上の人プロダクション
suijonohito.com

米軍基地に隣接するため開発を免れてきた浜に漂着した肉塊を解体し、米軍敷地内の黙認耕作地にある闇市で売る女。その肉に群がる男たち。肉屋の裏には鍾乳洞が続いていた。現実と創作を往き来しながら、沖縄の今が描き出される。


【監督のことば】沖縄の米軍基地があるがゆえに偶然残った自然海岸や、人々が憩い集うその美しい海岸を、経済振興の名のもと沖縄の行政が埋め立ててゆく工事現場、米軍用地内にある黙認耕作地に無認可で発生したマーケットなど、今はすでになくなってしまったいくつかの実在した場所で、店を営む人やマーケットで知り合った人々とフィクションを混じえ制作しました。米軍に奪われた土地を民衆が占拠し、互いに生を交換するヴァイタリティ溢れるマーケットを舞台に、海の底からやってきた肉の循環、自らの生を脅かす共同性をも描き出し、沖縄の現代社会を写し撮ろうと試みた映画です。


- 山城知佳子

アーティスト、映像作家。沖縄で生まれ、沖縄県立芸術大学で絵画と写真、インスタレーションを学ぶ。2004年以降、写真・映像作品を世界各国の展覧会で発表(あいちトリエンナーレ2016、第8回アジア・パシフィック・トリエンナーレ/ブリスベン、 ユダヤ現代美術館/サンフランシスコ、Move on Asia/ソウルなど)。第2回恵比寿映像祭(2009)に招待参加し、他者の戦争体験を継承することは可能か? をテーマにした継承シリーズ「あなたの声は私の喉を通った」(2009)、「沈む声、紅い息」(2010)で映画を意識した制作へと移行する。2010年から本格的に映画制作と撮影を実践で学ぶ。『創造の発端 ―アブダクション/子供―』はイメージフォーラム・フェスティバル2016の「ニューフィルム・ジャパン 日本招待部門」で上映。『肉屋の女』は、2012年、森美術館が開催するMAMプロジェクトで3面マルチ・スクリーンで発表した作品を、2016年に劇場版としてシングル・チャンネルに再編集した映画である。