蛇の皮
Snakeskin-
シンガポール、ポルトガル/2014/英語/カラー/Blu-ray/105分
監督、脚本、撮影、編集、ナレーション:ダニエル・フイ
録音:ダニエル・フイ、ティアゴ・マトス
製作会社、提供:13 Little Pictures
2066年、あるカルト教団の生き残りの男に手渡された、“悪”が映っているという2014年のシンガポールのフィルム。そこに記録された人々は何者か? 過去を消し去ろうとする行為、あるいはタイムトラベルをしてでも知りたいと思う「真実」とは? 架空のカルト教団の盛衰が、シンガポールの建国/ルーツにまつわる神話や幻想と重ね合わせられ、人々の私的な物語が交錯しながら、この地における抑圧と抵抗の歴史の残像が時空を超えてあぶり出される。
【監督のことば】1950年代のシンガポールは興味深い時代だ。この地域のなかで、シンガポールの映画産業が最も繁栄していた時代だった。政治的に激動の時代でもあった。この頃の映画を見ると、作品の中で描かれている理想と、当時の運動家や政治家が描いていた理想の間に、多くの相似があることに気づく。双方とも多民族が完全に共存する、独立性を保った、平等主義の社会を求めていた。
残念なことに、この歴史のほとんどは、忘れ去られ、消され、書き換えられてしまった。これは、歴史の狭間に落ちた人々に捧げる映画だ。彼らの亡霊は私たちとともにあり、私たちの夢、幻想、無意識のなかに存在し続ける。夜が更け、街が寝静まると、私たちの未来について警告する彼らの声が、いまだに聞こえるのだ。
映画作家、ライター。カリフォルニア芸術大学映画学科卒業。ロッテルダム、ハワイ、マニラ、ソウル、バンコク、ウラジオストックの各映画祭で作品が上映される。シンガポール国立博物館シネマテークの季刊誌を含む、著名な映画雑誌に記事を寄稿。アジア映画振興ネットワーク(NETPAC)のオンライン雑誌『Cinemas of Asia』編集者。インディペンデント映画集団で、世界中で高く評価された映画の数々を制作した13 Little Picturesの設立者の一人でもある。2本目の長編映画である本作は、トリノ国際映画祭のドキュメンタリー部門で審査員特別賞を受賞。