ともにある Cinema with Us 2015
助成:企業メセナ協議会GB Fund、公益信託荘内銀行ふるさと創造基金、
公益財団法人カメイ社会教育振興財団
3月11日を支点として、こことよそ、
そして、過去と未来をつなぐ
この数年、大きな災害や事故があれば、その場に居合わせた人々がマスコミよりも早く、携帯電話で撮った映像をインターネット上に公開するようになった。2011年3月11日という日は、それが当たり前にできることを自覚した日でもあった。テレビはすでに遅いメディアになった。そして、映画はそもそも遅いメディアだった。
しかし、被写体とじっくり向き合って撮影し、撮影された素材と向き合って編集し、やっとのことで映画は人の目に触れる。むしろその「遅さ」によって、せわしない自分自身の現在からしばし距離をおき、あの日からの出来事と向き合うことができるのではないだろうか。まだそれくらいの距離が必要なように思う。脊髄反射的な思考では、未曾有の出来事から立ち直り、変わっていくことはできない。
文字通り、東日本大震災は日本社会とそこに生きる私たちを揺り動かした。また、これまでの災害とは比べものにならないほど、多くの映画が生まれているのも事実である。私たちは映画を通して何を考え、語り、伝えようとしているのか。