見つめる(特別版)
Look Love (Special Version)对看
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中国/2015/中国語、英語/カラー/Blu-ray/176分
監督、撮影、編集:葉雲(イエ・ユン)
編集監修:廖慶松(リャオ・チンソン)
製作:陳玲珍(ルビー・チェン)
配給、提供:CNEX www.cnex.org.cn
湖南省の農村に父親と暮らす少年林生(リン・シェン)は、学校に行ってもサボってばかりだが、妻が去って殻に閉じこもる父を気遣い、弟たちの面倒を見る。北京の全寮制の学校に通う少女欣媛(シン・ユェン)は、たまにスペインから帰る母親には反抗してばかり。「子どものために」家族と離れた場所で働く母親たち、「親は何も分かってくれない」と寂しげな子どもたち。互いの思いがすれ違い右往左往する状況に監督は寄り添い、カメラを介して普段は言葉にされない親と子の思いを引き出していく。
【監督のことば】この映画は私にとって、長く孤独な冒険であった。当初はドキュメンタリー映画にするつもりはなかったのだが、最終的にはその深みへ陥っていた。登場人物に付き添うこと数年間、彼らが小学校を卒業すると同時に編集作業を始めたものの、映画が完成した頃、彼らはもう中学校を卒業していた。非常に長きにわたり彼らの成長を見つめてきたわけだが、一方で自身の生命は、撮りためた素材と幼少期の記憶の中に留まったままである。
撮影したフッテージを細かく見直し、偶然がもたらした様々な瞬間を繰り返し観ていく中、私は驚きとともに、ある種の不思議な力が私と彼らの生命を、その瞬間に引き合わせたのだろうと感じるようになった。何人もの子どもを同時に撮影していながら、あえて林生(リン・シェン)と欣媛(シン・ユェン)の映画にしようと考えたのはなぜか。ある日突然、その答えに気が付いた。社会的な理由以外に、より直感的な理由として「目」があることを。彼らは似たような目をしている。深い情感を持った目を。
多くの場面で、私は自分の立場に困惑した。彼らと一緒にいてもまともな温かみを与えられないばかりか、むしろ彼らから、幼かった頃の自分を抱きしめる機会を与えてもらった。社会観察から始まったこの映画だが、二人の子どもとその家庭の内側に入っていくとき、私自身も自己を癒す森に入り込んでいたのだろう。
湖南省郴州出身、中央美術学院卒。卒業後、北京央美公共芸術研究院で公共芸術研究に従事。映像インスタレーション「対看計画(Look Love)」が中央美術学院2009年度優秀卒業作品一等賞を受賞。短編ドキュメンタリー『対看』が2012年台湾国際ドキュメンタリー祭、2013年雲之南紀録影像展に入選。映像インスタレーションを発展させて2009年から撮り始めた長編ドキュメンタリーである本作は、CNEX基金、フォード基金、サンダンス映画祭ドキュメンタリープログラム、釜山国際映画祭ANDファンドを獲得している。