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[インド]

七度目の祈り

The Seventh Wish

- インド/2014/ウルドゥー語、ヒンディー語、マイティリー語、ハリヤーンウィー語/カラー、モノクロ/Blu-ray/27分

監督、撮影、編集、提供:ヴァルン・トリカー
録音:シルピ・サルージャ、ラディカ・ファターニア、フマイラ・ビルキス、ラチタ・フォガット

男性が女性の言葉で「欲望」を語るウルドゥー語の古典詩レーフティー。宇宙の中で反復される人間の生死を目撃し、歴史の記憶をとどめる妖霊が宿る場所に願いをしたためれば、叶えられると信じ、通い続ける女たち。ひとつの空間を共有し、語り、踊り、嘆き、愛する彼女らのなかに、監督はレーフティーに描かれる「女たちの空間」を見出し、時代を超え、詩と対話を試みる。



【監督のことば】撮影の最終日、カメラを起動したときには、自分が理解し得なかったあの要塞を、遠く離れた所から撮るとすでに決めていた。私はあの要塞の姿に、もはや耐えることができなくなっていた。あの要塞が、どうしても見つけることのできなかった答えを、私から隠していると確信していた。

 息苦しくなる蝋燭や、涙を浮かべたいくつもの目が出没する漆黒の闇のなか、何百もの蝙蝠があちこち飛び交う要塞の洞穴内部で、何人かの女たちが目に見えない霊に向かって手紙を書いているのを、私は二ヶ月にわたり見つめていた。洞穴の黒い煉瓦の壁に自分たちの書いた手紙を貼りつける、悲しみを湛えつつも希望に満ちた女たちは、それらが霊によって愛でられるのでなく、明朝、清掃係のスレンダーと、その同僚らが到着すれば煙と消える運命にあることを、ほとんど知る由もなかった。この男たちは、構内を綺麗にしておくために政府から雇われている。焼却用の薪が組み上げられる何時間も前に、ゴミの山から定期的に盗むことによって、私が多くの手紙を救えたと考えていたことはあまりにも浅はかだった。その場所から引き離されてしまったそれらの手紙は、いったい誰のものになるのかと、そのとき自分自身に問うていればよかったのにと思う。

 しかし、それよりも重要なのは、押しつぶされ、埃と油にまみれた手紙を私の戸棚のなかの無言の難民たちとすることを決定したいま、いったい誰が彼らから私を救ってくれるのだろうかということだ。私はあの要塞の姿を嫌悪した。


- ヴァルン・トリカー

ニューデリーを拠点に活動するフリーランスの映像作家。デリーでドキュメンタリー映像制作を学ぶ前、ロンドンで倫理学者としての教育を受けた。現在、ゴアでのキリスト教社会の癒しの伝統をめぐるドキュメンタリー映画を監督しているほか、エストニア国境地帯の村のセトゥ人コミュニティに関する作品も準備中である。エストニア政府より、2015年の「100フレンズ」フェローシップに選ばれた。本作は自身が通う芸術学校での修了作品で、インド政府情報・放送省の2015全国学生映画賞(NSFA)で最優秀監督賞など2つの賞を受賞した。『At Khaala's』(2014)はローク・サバー(インド下院)テレビで放映。無類の旅好きであり、またこの8年ほど、時間があるときは生け花に親しんできた。