女たち、彼女たち
Us women . Them womenNosotras . Ellas
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アルゼンチン/2015/スペイン語/カラー/ DCP/65分
監督、脚本、撮影:フリア・ペッシェ
編集:ルシア・トーレス
録音:フェデリコ・ディサンドロ
製作:フアン・C・マリスタニィ
製作会社、配給:Cine El Calefón
年齢も様々な一族の女性9人が集う家。先祖から彼女たちの身体へ脈々と引き継がれてきた何かが、古い館のなかに満ちている。年老いた者はゆっくりと死を迎え、若い肉体は新しい命を宿す。互いが互いの分身であるかのように生命が受け渡されていく様を、フリア・ペッシェ監督は繊細かつ大胆に描き切る。そこでは、男性の姿は遠くはかなげで、女性たちの世界だけが神話のように立ち顕れてくるのだ。
【監督のことば】最近読んだある言葉が、ずっと頭から離れずにいた――「私たちがドキュメンタリーという手法を大切に思うのは、それが私たちと世界との結びつき、歴史との結びつき、そして現在との結びつきを復活させてくれるからだ」。私と世界とのつながりについて考えると、自分自身の問題に目を向けざるを得なくなる。そして必然的に、自分の核、自分の家族の歴史に目を向けることになる。
私の家族の一部には、ある特殊なつながりが存在していた。世代が異なる9人の女性たちの間に存在するつながりだ。それは血縁だけではない。もっと深いつながりであり、世界から切り離し、守っていかなければならない。一族の女たちは、あるときは私のなかで矛盾した存在になり、あるときは葛藤と疑問の源となり、またあるときは自分自身を振り返る理由になってきた。それが初めて撮った映画の始まりだった。
私は小さな出来事をカメラに収めるようになった。きっかけは、大おばに死が迫ったことだ。それから私は、大おばの家のすべてを撮影した。あれは二度と戻ってこない時間だ。どんな時間も、二度と戻ってはこない。そう私は考えた。悲しいけれど、同時に美しいことでもある。私が興味を持つのは、一瞬の閃光のような映画だ。ほんの短い間だけ輝き、世界のどこかに存在しながら、再び発見されるのを待っている。一見すると意味のない出来事に命を与える光景だ。
『女たち、彼女たち』は、何よりもまず、私の一族の女性についての映画だ。そこに存在する構造と、彼女たちの人生に迫っている。身近な存在をつぶさに観察することで、私は世界と出会う。他者の肉体、他者の目を通して自分自身を見るのは、ときにとても恐ろしく、ときに素晴らしい驚きに満ちている。
1984年生まれ。アルゼンチンの映画監督、アートディレクター。2008年、コルドバ国立大学で音響映像メディアプロダクション技師の資格を得る。2009年に長編ドキュメンタリー『Criada』で助監督を務める。同作は2009年のブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭の国内コンペティション部門でプレミア上映され、国内外の映画祭や展覧会で上映された。2010年以降は映画やテレビのプロジェクトの美術部門で働く。その間に携わった作品は、『De caravana』(2010)、『La Purga』(2011)、『Siete Vuelos』(2012)、『El grillo』(2013)、『Una noche sin luna』(2014)、『TRES-D』(2014)など。2015年、5年にわたり取り組んでいた自身初の長編映画である『女たち、彼女たち』を完成させる。本作はヴィジョン・デュ・レールの「新しい視点」(Regard Neuf)部門でプレミア上映された。