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わたしはここにいる

I Still Being (Kachkaniraqmi)
Sigo siendo (Kachkaniraqmi)

- ペルー、スペイン/2013/ スペイン語、ケチュア語、シピボ語/ カラー/DCP/120分

監督、脚本、撮影、編集、録音:ハビエル・コルクエラ
製作会社:Nakuy Producciones
配給:Quechua Films

ペルーを形成する3つの地域――高地のアヤクーチョ、アマゾン川流域のアマソナス、そしてリマが位置する海岸部をめぐり、そこに住む人々の言葉と歌声に耳を傾けた音楽風土記。知られざるペルーの辺境を旅して、人々の多種多様さを知り、彼らが奏でる豊饒な音楽に惹き込まれる。切り取られた風景の圧倒的な美しさと並行して、時代に翻弄される庶民の姿が浮き彫りになる。ハビエル・コルクエラは、本作で多彩な人種が文化を継承する祖国ペルーのアイデンティティを称えている。



【監督のことば】『わたしはここにいる』は見えない国についての映画だ。 私はペルーで生まれ、人生の最も重要な時期をリマで過ごした。リマは大都市で、この国のあらゆる場所から人々が集まってくる。何百万人もの人々が地元のコミュニティを離れ、生まれ育った文化と音楽を後にし、この海辺の首都をめざした。1940年代から50年代にかけて大規模な人口移動が始まり、よりよい生活を求め首都リマにやってきた人たちは、スラム街に住み着いた。彼らはこの地で新しい生活を始めたが、それは必ずしも望んでいたようなものではなかった。

 この映画はそんな彼らの物語だ。大都市リマにやってきたが、自らのルーツを決して手放さなかった人たち。故郷の言葉で歌い、独自の奏法でギター、バイオリンを弾き、ハープを奏で、カホンを叩く。彼らは音楽で物語を語り、自分が何者かを語る。映画は音楽を通じて、そしてこの国の偉大な音楽家たちを通じてペルー文化の多様性を語り、この国の複雑さを語り、過去と現在を語っている。

 これは帰還の物語、ルーツに戻る物語だ。登場人物たちは故郷へ帰る。初めて歌を作った場所に帰る。アンデスの山奥へ旅し、アフリカ系の祖先を訪ね、またある者は生まれ故郷のアマゾンに帰る。

 この映画はまた、私が後にした国、物語を語り、歌うべき場所への恩返しだ。


- ハビエル・コルクエラ

ペルー出身の映画監督。監督作『La espalda del mundo』(2000)は、アメリカ、トルコ、ペルーを舞台に人権侵害を扱った3作からなるオムニバス映画で、サン・セバスチャン国際映画祭の国際批評家連盟賞を受賞。アメリカ占領時のイラクで撮影された『Invierno en Bagdad』(2005)は、マラガ映画祭で賞を獲得、2005年ロサンゼルス・ラティーノ国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー映画賞も受賞。他の作品に、スペインの忘れられた歴史を描いた『La guerrilla de la memoria』(2002)がある。また、俳優のハビエル・バルデムがプロデュースし、スペイン映画芸術科学アカデミーのゴヤ賞で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞したオムニバス映画『Invisibles』(2007)に、監督のひとりとして参加している。