オラとニコデムの家
CommunionKomunia
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ポーランド/2016/ポーランド語/カラー/DCP/72分
監督:アンナ・ザメツカ
脚本:マウゴジャタ・シワク
編集:アグニェシュカ・グリンスカ、アンナ・ザメツカ、ヴォイチェフ・ヤナス
録音: アンナ・ロク、カタジナ・シュチェルバ
音響:(Dreamsound)カツペル・ハビシャク、マルチン・カシンスキ、 マルチン・レナルチク
製作:アンナ・ヴィドラ、アンナ・ザメツカ、ズザンナ・クルル
配給:CAT&Docs www.catndocs.com
ポーランドのセロックに住む小さな家族。離れて暮らす母親の代わりに酒飲みの父親と自閉症の弟の面倒を見るのは、14歳の少女オラの役目だ。間もなくやってくる弟ニコデムの初聖体拝領が成功すれば、もう一度家族がひとつになれるとの切ない望みを抱き献身的に立ち回るオラ。だが、いまだ自立には及ばず、姉の庇護から離れられないニコデムや、一家を支える親として振る舞えぬ大人たちの弱さばかりが浮き彫りになる。カメラは逃げ道のない困難な日常に寄り添いながら、少女の心の叫びを世界に伝えるための光であろうとする。
【監督のことば】オラとニコデム、そして2人の父親に何度か会っただけで、私は彼らの映画を撮りたいと確信した。無条件の家族愛と、それを永続させる絆についての映画だ。
すべてが失われ、劣化し、崩壊する狭いアパートの一室で、3人の人間があまりにも強く結びついているために、1人のちょっとした仕草が雪崩のような連鎖反応を引き起こし、怒り、恐怖、隠された感情があらわになる。
『オラとニコデムの家』は、ポーランド人一家が迎える最初の聖体拝領についての映画ではない(たしかにそれが物語の中心になってはいるけれど)。むしろ、信じがたいほどのつながりについての実存的な物語であり、それは愛する家族の絆となって表れる。
子ども時代の私は、皆と同じようにおとぎ話が大好きだった。なかでもお気に入りは、「ヘンゼルとグレーテル」だ。『オラとニコデムの家』は、現実的で、モノクロではないバージョンのヘンゼルとグレーテルだといえるだろう。両親は大人の役割を果たすことができず、そして2人の子どもは、世界という森のなかで道を探している。
子どもはどこまで耐えることができるのか。それは、希望の続く限りだ――母親が戻ってくるという希望、家族がまたひとつになるという希望、そして何よりも、誰かがやって来て、ついに自分を責任から解放してくれるという希望――。
ポーランドの映画監督、脚本家、プロデューサー。ワルシャワとコペンハーゲンで、ジャーナリズム、人類学、写真を学ぶ。ワイダ・スクールでドク・プロ・ドキュメンタリー・プログラムを修了。長編デビュー作となる本作は、第69回ロカルノ国際映画祭で批評家週間賞を獲得。ほかにも2017年ポーランド映画賞(イーグル賞)など各国の国際映画祭で受賞し、2017年8月にはヨーロッパ映画賞の最優秀ドキュメンタリー部門にノミネートされた。