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アジア千波万波 特別招待作品[中国]

最後のハンダハン

The Last Moose of Aoluguya
罕达犴

- 中国/2013/中国語/カラー/Blu-ray/100分

監督:顧桃(グー・タオ)
撮影:顧桃、趙傑偉(チャオ・ジエウェイ)
編集:顧桃、趙傑偉、周宇(ジョウ・ユー)
音楽:尹紅日(イン・ホンリー)、志偉(ジーウェイ)
提供:顧桃

ハンダハンは、中国・東北地方、大興安嶺(ダーシンアンリン)山脈最大の鹿で、力強く威厳があるが、次第に生息地がなくなりつつある。当地に住むエヴェンキ族は定住を余儀なくされ、ハンダハンとあだ名される維如(ウェイジャ)も狩りが思うようにできず、消えゆくエヴェンキ文化を語りながら、飲んだくれるしかない。ガールフレンドと一緒に南の都会に住んでも、結局酒がやめられずに帰ってくる。『オルグヤ、オルグヤ…』、『雨果(ユィグォ)の休暇』と、エヴェンキの人々を撮り続けてきた顧桃監督3部作の最終章。



【監督のことば】2005年、私は故郷のオロチョンから500キロほど離れた場所に住む、エヴェンキ族の人々を題材にドキュメンタリーを撮り始めた。それは私の父・顧徳清(グー・ドゥーチン)から大きな影響を受けていたためである。父は70年代から写真と文章で北方の少数民族の生活ぶりを記録しており、彼の勇気と辛抱強さに私はずっと励まされてきた。

 私は6年の年月をかけ、『オルグヤ、オルグヤ…』(2007)と『雨果(ユィグォ)の休暇』(2011)というオルグヤに暮らすエヴェンキ族についての作品を2本完成させたが、その間に維如(ウェイジャ)のこともたくさん撮影していた。力強さとともに多くの悲しみを抱えた彼の姿は、森に残された孤独な一頭のハンダハンのように見えた。

 今から2年前、維如は恋愛をし、三亜にいる夏(シア)先生のために森を離れ、北緯52度のオルグヤから北緯18度の海南島へ移り住んだ。彼に会うために三亜へ行った私は、そのときブログに「森の最後のハンダハンは熱帯雨林に困惑し、吼える力もなく、ただ鳴くばかりだ」と記した。ヤシの木柄の、気取った海南島の服を着た維如がビーチで日光浴をする姿に私は違和感を覚えたが、彼の幸福を邪魔する権利があるでもなし、ただ彼自身が将来を選択するのを見守るしかなかった。


- 顧桃(グー・タオ)

1970年、内モンゴル自治区出身。内モンゴル芸術学院で油絵を、その後、北京美術学院で写真を学ぶ。2005年からドキュメンタリー映画の製作を始め、『オルグヤ、オルグヤ…』を2007年に完成させる。『雨果(ユィグォ)の休暇』でYIDFF 2011小川紳介賞受賞。長期にわたり現代中国における北方少数民族の生活と変化に注目している。



アジア千波万波 特別上映[中国]

- オルグヤ、オルグヤ…

Aoluguya, Aoluguya . . .
敖魯古雅…敖魯古雅

中国/2007/中国語/カラー/DVCAM/81分
監督:顧桃(グー・タオ)


- 雨果(ユィグォ)の休暇

Yuguo and His Mother
雨果的假期

中国/2011/中国語/カラー/Blu-ray (SD)/49分
監督:顧桃(グー・タオ)

『最後のハンダハン』に先立つ2作を上映。『オルグヤ、オルグヤ…』(2007、YIDFF 2011)では、息子の雨果(ユィグォ)がいない悲しみを酒で紛らわす母とその弟、彼らを見守る首長のマリアなど、森の生活を個性豊かに描く。『雨果(ユィグォ)の休暇』(2011、YIDFF 2011小川紳介賞)では、家族と遠く離れて暮らす雨果が帰郷し、森の生活に戸惑いながらも家族と一緒に過ごす、束の間のキラキラした時間が流れる。