チークを辿る道
Jalan Jati--Teak Road-
シンガポール/2012/ダイアローグなし/カラー/Blu-ray/24分
監督、アニメーション、脚本、製作:ルーシー・デイヴィス
編集:エドウィナ・オン、ミッシェル・ヤップ、ジャック・ミン
録音:ザイ・クニン、ザイ・タン
提供:オブジェクティフス・フィルム www.objectifsfilms.com
チーク材でできたベッドの木片のDNAをたどり、その木がいつどこから来たのかを探し出す試み。木片が持つ“記憶”を手がかりに、シンガポールからスラウェシへ、植民地時代、森林伐採が盛んだった頃、近代化の歴史の裏に見え隠れする人と木材の道筋を想像し、独創的な地図を描き上げる。アニメーション、写真、音のコラージュを通して新たな命を吹き込まれたチーク材は、画面上を自由自在に動きまわり、観る者を時空の旅へと誘う。
【監督のことば】『チークを辿る道』は、完成までに3年を要した、ある大きなギャラリープロジェクトの一部である。同プロジェクトは、2013年のエディンバラ芸術科学フェスティバルで公開された。この映画は、ザイ・クニンとザイ・タン両名によるサウンドスケープに合わせて作られたもので、私たちの地域の木材、樹木、人々にまつわる遺伝子、歴史、魔術、移住の物語を素材とする、不安定でそして決して終わることのないダンスである。シンガポールのカラン・グニ(廃品回収業者)の店で見つけたチーク材のベッドの木片(本作品の主要な素材であり、主題でもある)を通して、何層もの記憶の跡を辿っていく。本作に登場する大半の映像/イメージは、このベッドの木目の木版から作られている。
ビジュアル・アーティスト、アートライター、シンガポールの南洋(ナンヤン)理工大学アートデザイン・メディア学部助教授。東南アジアにおけるアートと生態環境の支援に取り組む「移住性生態環境プロジェクト」の創立者。『チークを辿る道』は、オーバーハウゼン国際短編映画祭(2012年)の国際コンペ部門で奨励賞を受賞。展示プロジェクトとしての「チークを辿る道」は、フランスの「アートと環境」COAL賞(2011年)の最終選考作品。また「Together Again (Wood: Cut)」シリーズは、2011年、シンガポール美術館主催のAPBC シンガポール・アジア太平洋アート賞にノミネートされた。本作は初の映像作品。