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[中国]

歌は人生

To Sing To Live
唱着活着

- 中国/2013/中国語/カラー/Blu-ray/62分

監督、脚本、製作:趙剛(チャオ・ガン)
撮影:趙剛、錢戈(チェン・グー)、鄧剛(ドン・ガン)
編集:駱泉(ルオ・チュエン)
録音:李茜(リー・チェン)
提供:趙剛、鄭瓊(ヂョン・チョン)

四川地方のとある大衆演劇団。設置した芝居小屋で、11人の団員たちが連日公演し、生活を送る。京劇から曲芸まで、様々な演目が盛り込まれた3時間に及ぶエンターテインメントは、地元の人たちからも愛されている。寝食を共にし、喧嘩も絶えない大家族のような濃密な人間関係のなか、少女時代から母親と劇団に参加している花形女優丹丹(タンタン)は、自身の将来に思い悩みながらも、年配の観客の前で懸命にヒロインを演じ続ける。



【監督のことば】中国は古くからの文明を持つ国である。その長い歴史のなかで、多くの伝統文化が生まれ、発展し、伝承され、消えていく過程を経験してきた。

 川劇(せんげき)は中国八大戯劇のひとつに数えられる、四川地方の代表的な演劇である。私は長きにわたって地元の文化であるこの川劇に関心を寄せてきた。

 庶民に人気があり、いろいろな劇団が街のあちこちで演じている、というのが川劇の初期の姿であった。100年以上にわたって輝かしい時代が続いたものの、今や消滅の危機に瀕している。私がこの作品を撮ろうと思った最大の動機は、川劇という古い演劇が置かれている現状を記録したかったからである。そこからは、中国の伝統文化が直面している存続することの困難を読み取ることができる。

 急激な発展のなか、この小さな劇団は社会の隅に追いやられ、そのたくましかった生命力は、近代化という機械の轟音のなかでもがいている。彼らが祖先から受け継いできた伝統と信仰は、今や貧しさという現実に直面し、脆く、奇妙なものになり果てている。伝統は戯曲のなかに生き続け、信仰は舞台の上に生き続け、あとはただ食べるために稼ぐだけ。それが、彼らが置かれている生活の実態だ。それは隠喩のようでもあり、縮図のようでもある。


- 趙剛(チャオ・ガン)

ドキュメンタリー映画監督、中国芸術家協会メンバー、および中国テレビジョン連盟付属ドキュメンタリー・アカデミーのディレクター。1996年から現在に至るまで、継続的にドキュメンタリー映画製作に取り組む。監督作品『Shangshu Academy Witness』(2010)は、カナダのシネボリューション・メディア・アーツ協会の新アジア映画祭に選出される。同作品は、第10回四川TVフェスティバルの国際ドキュメンタリー部門でゴールデン・パンダ賞の最終選考作品となる。2003年度全国放送テレビ番組のクラス・ワンにランクされた『The Sun in Winter』 (2003)は、第17回中国ゴールデン・イーグルTV賞、および第13回フランスFIPA国際映画テレビジョン祭に選出された。他の監督作品として、『People Living in Tibetan Village』(1996)、『Godly Gatekeeper』(1998)、『Reign of Heaven』(1999)、『Confess at Dusk』(2004)、『Person Like Me』(2006)などがある。