怒れる沿線:三谷(さんや)
Raging Land 3: Three Valleys鐵怒沿線 ― 三谷
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香港/2011/広東語/カラー/HDV (SD)/310分
監督:陳彦楷(チャン・インカイ)、菜園村の人々
脚本、撮影、編集、録音:陳彦楷
製作:v-artivist、菜園村支援会
提供:v-artivist
2008年11月、香港の農村である菜園村は、高速鉄道建設により移転が決定的となる。2009年から菜園村に滞在しながら、住民や支援者らの運動を長期にわたり撮影してきた3部作の最終章。日常の農作業とともに、移転先の新しい村をどのように作り上げるか、議論を重ねる住民と支援者たちのやり取り、ふるさとを去る準備をする人々の胸の内、ブルドーザーで村を破壊する権力に対峙する住民らの最後の闘いを克明に記録する。
【監督のことば】ここ何年かの間、私は「監督」ではなかった。むしろ、カメラを抱えながら村の人たちとともに歩く存在だった。2001年に書いたエッセイを引用する。
「カメラを手に菜園村を初めて訪れたとき、テレビのレポーターだと勘違いされた私は、ドキュメンタリー映画を撮影していることを村の人たちに伝えた(もちろん当時は、それがどういう意味であるか、理解されていなかったかもしれない)。その後、私は村の人たちに数え切れないほどインタビューをするようになっただけでなく、村の実態調査や住民集会、抗議運動など、様々な活動に協力することになった。
以来、私はビデオカメラを抱え、村の人たちと一緒に歩く存在として受け入れられるようになった。住民たちの声を記録し、それを社会に届ける役割を担い、畑仕事も手伝う人間としてだ。村の活動と日々の生活を記録すると同時に、編集済みのビデオを村で上映した。そして見た人たちの意見を採り入れて、再編集する。この過程を繰り返しながら、村の人たちと協力し合い、どのように物語を伝えるかを考えた。
他者と幸せに、真摯に、対等に生きること、共生できる自由を追い求めることが、私のドキュメンタリーを製作する上での望みなのかもしれない。それは小川監督、そして彼の製作スタッフが教えてくれた最も大切なことだ」
都市部と地方の対立と融合はそのつど違う形で繰り返される。三里塚、阿賀野川、牧野村の人たちの映画のなかの姿は、常に私の心の内にある。
ともに頑張りましょう。
ドキュメンタリーやビデオ製作の教育を行う香港の芸術集団、v-artivistのメンバー。通称ベニー。大学在学中からドキュメンタリー製作とビデオ教育のワークショップを始める。2009年4月から菜園村に住み込み、村人たちの闘いをカメラに収めてきた。菜園村を題材に3本のドキュメンタリーを撮り、現在も村の建設を続ける村人たちを追っている。本作は3作目の長編ドキュメンタリーになる。