鉄の時代
Iron Age철의 시대
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韓国/2013/韓国語/カラー/Blu-ray/38分
監督、撮影、編集、提供:チョン・ジユン
映画を作ろうともがく娘。自分や家族のことを明るみに出す娘の行為に批判的な母。だが反発を買ってもなお、突き動かされる何かが娘のなかにはあった。民主化闘争に身を投じ、とてつもない権力の暴力が吹き荒れた「鉄の時代」を生きた母は、未だ癒えぬ傷を抱えている。監督は母が光州事件の後に投獄され不在だった幼少期の記憶をたぐり寄せながら、次第に母と娘、それぞれの思いが言葉の断片に結晶し、母とその時代が浮かび上る。
【監督のことば】ひとりの女が心に空洞を抱えている。その空洞からは、何か柔らかく目に見えぬぼんやりしたものが、今にでも流れ出てしまいそうになっている。そのことが彼女の人生を不幸せにしている。そのため彼女は、なぜそれがそこにあるのか、原因を探し始めた。
このドキュメンタリーの製作中にふたりの人間が死んだ。
私は、そのうちのひとりとは親しくなかったが、彼女には多少の好意を抱いている。
もうひとりとは、とても近い存在だった。実を言うと、それは私だった。
私はそのふたりのため、そして私自身のために何か慰めを見出す必要があった。だからこのドキュメンタリーを作らなければならなかった。
もしかすると、このドキュメンタリーは、子どもたちに捧げる追悼かもしれない。
もしかすると、作品は、無力さに対する謝罪なのかもしれない。
1985年生まれのドキュメンタリー映画監督。短編作品に『display_UNCUNNY』(2011)、8ミリ映画の『Be My Kind』(2011)などがあり、第37回ソウル・インデペンデント映画祭と第5回女性の権利のための映画祭で招待上映された。最新作である本作はKOFIC(韓国映画振興委員会)の支援で製作され、ソウル・インディペンデント・ドキュメンタリー映画祭2013、第15回ソウル女性映画祭で上映された。