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[中国]

ぼくとおばさん

South of the Clouds
彩云之南

- 中国/2012/中国語/カラー/Blu-ray/80分

監督、撮影、編集、録音、提供:王爾卓(ワン・アルジュオ)

雲南省のビルマ国境に近い町で美容店を営む監督の叔母は、カメラを手に訪れた甥を無条件に受け入れる。かつて母親代りのようにして監督を育てた、老いゆく叔母からは、子ども時代のコンプレックス、若き日の恋愛や家族について、甥への愛情とともに言葉が溢れ出る。店で働く若い女性たちの希望に満ちた恋愛観などを対比させながら、人としてのありふれた幸せや悲しみを叔母の語りを通して見つめるパーソナル・ドキュメンタリー。



【監督のことば】これは普通の人々の、愛と涙の物語です。主人公は、ベビーシッターとして私を育ててくれた叔母で、ビルマとの国境にある中国雲南省の小さな町で美容店を営んでいます。

 ドキュメンタリー作品を作るには、私はまだとても若く、人生経験も足りません。私の世界観は、私の周りにいる、ごく親しい家族や友人のおかげで形作られています。大学生の私は、自分自身の限界のなかで混乱もすれば、無力感も感じます。けれども私の周りにいる普通の人々は、人生の痛みや美しさを教えてくれる、とても尊いものを持っていることに気づきました。普段なら聞き流してしまいがちな彼らの物語が、実はとても魅力的だということもあるのです。泣いたり笑ったりしているその背景に、時間とともに色褪せ、主人公とともに年月を重ね、風とともに去っていく物語があるのです。

 私の叔母も、いたって普通の人です。私は、自分を育ててくれた、この普通の女性が大好きで、だから彼女を撮影することにしました。そして話を聞きながらふと気づいたのです。その波瀾万丈な人生を経てなお、彼女は普通の人であり、静かに歳を重ねているということに。2012年の夏、私は一人でこの小さな町に来て、若い人々と生活する叔母の思い出話に耳を傾けました。ひと夏の出来事をすべて、ビデオカメラに収めました。私の人生のなかで一番大切な思い出です。皆さんの心に届きますように。


- 王爾卓(ワン・アルジュオ)

1991年、中国湖南省生まれ。北京の中央戯劇学院演出学部映画テレビ学科に在籍中。2012年に初のドキュメンタリー作品『ぼくとおばさん』を製作。