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    The Collaborator and His Family
    Rechokim

    - アメリカ、イスラエル、フランス/2011/ ヘブライ語、アラビア語/カラー/ Blu-ray(SD)/84分

    監督、撮影:ルーシー・シャツ、アディ・バラシュ
    編集:ヤナス・ビレシュコフ・ヤンセン
    音楽:ウリ・フロスト
    製作:ロス・カウフマン
    製作会社:ユラリ・フィルムズ、 フィグ・フィルムズ
    共同製作:レッド・ライト・フィルムズ、 アルテ・フランス、イエス・ドキュ、ITVS、 TVオンタリオ
    配給:デッカート・ディストリビューション deckert-distribution.com

    密告者として長年イスラエルに通じていた父親が、その裏切り行為のためにパレスティナを追われ、妻と5人の子どもたちを連れてテルアヴィヴに移り住む。イスラエルの保護を求めてやってきたにも関わらず、正式な滞在許可を与えられないまま、一家は絶えず不安定な生活を余儀なくされる。パレスティナでは裏切り者とされ、イスラエルからも切り捨てられた家族が、次々に起こる事件に翻弄される日々をスリリングに描く。



    【監督のことば】テルアヴィヴの南、移民、売春婦、麻薬中毒者ら、社会から見放された者たちがひしめく暗い路地で、私たちはこの悲劇の物語の主人公を見つけた。『ガーデン』(2003)を撮影中、そこでパレスティナの密告者の子どもたちと出会ったのだ。彼らは必死で周囲のユダヤ人に溶け込もうとしていたが、それは所詮、叶わぬ望みだった。彼らは勝ち目のない戦争の落とし子であり、戦争が次の世代に与えた壊滅的なダメージをいみじくも象徴している。

     エル・アケル家はイスラエル政府によって保護されることを約束されていたが、政府にその義務を最後まで遂行する意思はなかった。結果、ほとんどの密告者はどちら側にも属せず、身分証明書がなく、社会的支援は得られず、教育も受けていない。密告者とその家族は、彼らを利用した社会から追放され、極貧のうちに見捨てられた。私たちはエル・アケル家の承諾を得て彼らを撮影し、社会の底辺で生き抜こうとしている密告者たちの生活、実態をスクリーンに曝け出した。そこに映るのは、イスラエル治安部隊の裏切りがもたらした悲惨な現実である。

     この映画は独特な視点から語られた人間ドラマであり、故国を裏切るという苦渋の決断をした男とその代償を負わされた家族の物語である。


    - (左から)

    ルーシー・シャツ、アディ・バラシュ

    ルーシー・シャツはJFCにて映画を学び、1998年に卒業。アディ・バラシュはテルアヴィヴにあるCamera Obscura School of Artで映画を専攻し、1998年に卒業。2人の他の作品に『Diamonds and Rust』(2001)、『ガーデン』(2003、YIDFF 2005 アジア千波万波奨励賞)、『Yuri Foreman』(2009)。

    2人は現在、テルアヴィヴで最も大きい病院についてのドキュメンタリー6部作『The Healers』の編集作業に入っている。シャツは作り手であるだけでなく、ドキュメンタリー映画の資金調達コンサルタント、独立系映画のプロデューサーでもある。