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    フェルナンド・ペレス


    -●審査員のことば

     私は映画監督としての仕事をドキュメンタリーで学んだ。ドキュメンタリー作りを通して映像言語についての知識と技術を磨いてきたのだ。そして今、日本が極めて困難な状況に直面するこの時に、山形国際ドキュメンタリー映画祭に審査員として参加し、日本の観客のみなさんと一緒に映画を観ることができるというのは、私にとって、職業・芸術面においてだけでなく、ひとりの人間として、とても有意義な体験となることだろう。


    フェルナンド・ペレス

    ハバナ大学スペイン語・文学科卒業。1962年より、キューバ映画芸術産業庁(ICAIC)に就職し、その後、同機関で映画監督としてのキャリアを積み、1974年から84年にかけて20本以上のドキュメンタリーを製作。

    長編デビュー作の『Clandestinos』(1987)で新ラテンアメリカ映画祭で新人監督賞、カルタヘナ映画祭で最優秀作品賞を受賞。その後、『ハロー・ヘミングウェイ』(1990)、『Madagascar』(1994)、『La vida es silbar』(1998)、『Madrigal』(2006)、『Jose Martí: El ojo del canario』(2010)を製作し、数々の賞を受賞。

    著書『Corresponsales de guerra』は82年カサ・デ・ラス・アメリカス賞証言部門を受賞し、同年に出版された。ガブリエル・ガルシア・マルケスが設立したサン・アントニオ・デ・ロス・バニョス国際映画テレビ学校で創設時より教鞭をとる。キューバ映画出版協会により90年代で最も傑出したキューバの映画監督に選ばれ、2007年にはキューバ映画賞を受賞。


    永遠のハバナ

    Havana Suite
    Suite Habana

    - キューバ、スペイン/2003/スペイン語/カラー/35mm/84分

    監督、脚本:フェルナンド・ペレス 
    撮影:ラウル・ペレス・ウレタ
    編集:フリア・イップ
    録音:ホルヘ・ルイス・チホナ
    音楽:エデシオ・アレハンドロ、エルネスト・シスネロス
    製作:ホセ・マリア・モラーレス、カミロ・ビベス
    製作会社:ICAIC、ワンダヴィジョン・プロダクション
    提供:Action inc.

    雨の降りしきる夜明けから朝、そして昼、また夜へ。ハバナに住む12人の老若男女の生活のリズムそのままに、ゆったりと映像と音楽だけで進行する抒情的な映像詩。雨上がりの広場、労働の退屈、家族のふれあい、飛び立つ鳥の羽ばたき、子どもの笑顔、芸術への深い愛、老人の曲がった背中。ハバナを去って外国へ飛び立つ者の別れも含め、平凡な一日に人間感情の豊かな振幅を描き、質素な暮らしにあって輝ける慈しみの瞬間を捉える。


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