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    Nostalgia for the Light
    Nostalgia de la luz

    - フランス、ドイツ、チリ/2010/スペイン語/ カラー、モノクロ/35mm/90分

    監督、ナレーション:パトリシオ・グスマン
    撮影:カテル・ジアン
    編集:パトリシオ・グスマン、エマニュエル・ジョリ
    録音:フレディ・ゴンサレス、ジャン=ジャック・キネ
    音楽:ホセ・ミゲル・ミランダ、ホセ・ミゲル・トバル
    製作:レナーテ・ザクセ
    製作会社:アタカマ・プロダクションズ
    配給:有限会社アップリンク

    世界中の天文学者が集まるチリの標高3,000メートルの高地、アタカマ砂漠。監督パトリシオ・グスマンは幼い頃の天文学への憧れを語りながらその聖地であるアタカマを紹介、さらにここがピノチェト軍事政権下の弾圧の地であることを明らかにする。永遠とも思われるような天文学上の時間と、犠牲者の遺骨を捜し求める遺族たちの止まってしまった時間。チリの歴史を描き続けるグスマン監督の、諦観に満ちた語り口と、圧倒的な映像が際立つ。



    【監督のことば】アタカマ砂漠……塩と風でできている、広大で無時間な空間。地球上にある火星の断片。動くものは何もない。それでも延々と広がるこの地には、過去の謎めいた痕跡が満ちている。2000年前の村の廃墟が存在し、19世紀の鉱山労働者が利用していた列車が、砂のなかに打ち捨てられて動かずにいる。そしてそこには、墜落してきた宇宙船のように見える巨大なドームがいくつかあって、天文学者たちが生活している。周りにあるのは、人々の亡きがらだけだ。夜ともなれば、地面に影が映るくらい明るく天の川が輝く。

    見えざる現在……天文学者にとってのリアルな時間は、過去から来る時間だけである。星の光が我々に届くには、何十万年もの時間がかかる。だから天文学者はいつも過去を見つめている。歴史学者、考古学者、地質学者、古生物学者、そして、いなくなった者を探す女性たちもそうだ。彼らには共通点がある。過去を観察することで、現在と未来とをよりよく理解しようとしているのである。不確かな未来に直面する我々を、ただ過去だけが照らしてくれる。

    見えざる記憶……太陽のぬくもりがそうであるように、記憶は我々の生命を保証する。記憶がなければ人間は無だ。始まりも未来もなく、脈打つことのない物体。18年間の独裁政権が終わり、チリは再び民主制を経験しつつある。だがその代償は…。多くの者たちが友人を、親戚を、家を、学校を、大学を失った。そして記憶を失った者たちもいる。おそらく永遠に。


    - パトリシオ・グスマン

    1941年、チリのサンティアゴ生まれ。マドリッドの公立映画学校でドキュメンタリー映画を専門に学ぶ。73年、アジェンデ政権とその崩壊を描いたドキュメンタリー『チリの戦い』を制作。アメリカの雑誌『Cineaste』に「世界最高の政治映画10本のひとつ」と讃えられる。アジェンデ政権が倒れたクーデター後逮捕され、サンティアゴ・ナショナル・スタジアムに勾留された2週間に、脅迫目的で幾度か処刑の真似事をされた。その後、チリを出国。キューバ、スペイン、フランスで『En nombre de Dios』(1987、チリ独裁政権時代の解放神学についての映画)『La cruz del Sur』(1992)『Pueblo en vilo』(1995)『Chile, la memoria obstinada』(1997)『Le cas Pinochet』(2001)『Madrid』(2002)『Salvador Allende』(2004)『Mon Jules Verne』(2005)などを制作。2006年から2010年までの間に、本作の他、天文学と歴史的記憶についての短編5本を制作。1997年にサンティアゴ国際ドキュメンタリー映画祭(FIDOCS)を創設し、現在理事長を務めている。