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アジア千波万波 特別招待作品 審査員 |
麗江で鷹を放つ
The Passionate Culture麗江鷹放
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香港/2009/中国語/カラー/ビデオ/110分
監督、脚本、製作:鍾錦棠(チョン・カムトン)
編集:陳平(チェン・ピン)
撮影:李建昆(リー・ジェンクン)、王勳剛(ワン・シュンガン)、陳平(チェン・ピン)大朱(ダー・ジュー)、KC
録音:老馬(ラオ・マー)
美術:大朱(ダー・ジュー)
提供:鍾錦棠(チョン・カムトン)
雲南省・麗江のナシ族に700年以上続く鷹狩り。家族の一員として鷹や猟犬の世話をし、草原を飛び、駆け回る熟練鷹匠と若者と動物の姿は、生命力、躍動感に満ちあふれている。1人の人間と1羽の鷹の真剣勝負。それは伝統という意味での歴史ではなく、生にあふれ、解放される営みなのだ。野生動物保護や旧市街の観光地化などで鷹狩りの危機が取りざたされようとも、鷹匠たちは、人間と動物の家族と共に今日も鷹狩りに出る。
【監督のことば】 文化は我々が尊重、学習、そして継承しなければ、後世まで代々伝わることはない。
舞台は、過去の歴史において茶馬古道の要所であり、ユネスコにより“世界文化遺産”に登録された中国雲南省の「麗江古城大研古鎮」であるが、その評判は経済的な利益と矛盾をこの地にもたらした。映画は、その中でナシ族の伝統的な文化活動である鷹狩りをずっと守り、学習、継承してきた、老人・壮年・青年の3グループを代表する人物の物語だ。
あまり知られていないナシ族の “勇ましい文化”――男性のみが参加する鷹狩り――は時代や社会の変化と多くの影響に直面し、その前途は厳しい試練に立たされている。新世代の鷹匠と有識者は、これを考え、鷹狩りという伝統的な文化活動を保存、継承することに力を尽くしている。
鷹(ハイタカやオオタカ)の馴養(じゅんよう)から狩猟に出るまで、ナシ族の鷹狩りの過程は、人と動物の間の交流とそこにあふれる純真な愛を映し出している。犬も鷹も皆、人間が働くうえで欠くことのできない助手であるのだ。さらに、人と自然、人と動物の間の愛情と交感の力は我々の心を動かす。
鷹匠たちは、代々遺されたこの二千年の歴史を持つユニークな鷹狩りという文化活動をいったいいかに存続させていくのか。彼らはいかに鷹を捕まえ、飼い慣らし、狩に出るのか。またどのように現実社会を生きるうえでの圧力や時代的な各方面の衝撃や変化に向き合い、適応する選択を下すのか。はたして今日、この“文化現象としての鷹狩り”は、古城内をこんこんと流れる清流や古建築のように、それが持つ人と自然のあでやかな彩りを表し、それを結びつけることができるのだろうか。
鍾錦棠(チョン・カムトン) 1954年、香港生まれ。専攻はジャーナリズムだったが、家族と4人の子どもを養うために、政府関係の建物の建築業者として働き、レストランを経営する。写真家を目指していたが、'94年、教師育成のクラスに参加したことが人生の転機となった。'96年にクラスメートに誘われて雲南を訪れ、レストランと家族を置き去りにして、昆明に滞在することを決める。フリーランスの写真家およびライターとして活動し、2002年に香港のテレビ・ドキュメンタリーに刺激され、貴州省で最初のドキュメンタリー『Dong Nationality Dage』を作る。本作は第2作目。2003年から客員教授として、昆明の雲南芸術学校で写真芸術を教える。 |