垂乳女(たらちめ)
Tarachime birth/mother-
日本/2006/日本語/カラー/ビデオ/39分
監督、撮影、録音、構成:河瀨直美
編集:竹藤佳世、河瀨直美
共同製作:アルテ・フランス
製作会社:組画、遷都
配給:組画
養母が幼少の自分を見捨てるような言葉を吐いた、と監督が声を荒げて怒る。認知症である養母へのいら立ちの声と老いた裸体を慈しむ眼差し。そして息子の出産。
養母を描いた『かたつもり』から12年。老いて死に近づくひとつの命と、誕生によって分け与えられたひとつの命を静かにきり結ぶ感動作。
【監督のことば】命を身ごもったその日から、そして その命の誕生までを描くつもりの映画でした。けれど、創ってゆくうちに、それはただこのひとつの“命”だけの物語ではないということにたどりつき……やがて、命と命の結び目を描くような映画へと昇華してゆきました。
河瀨直美 1969年、奈良市生まれ。1989年、大阪写真専門学校(現ビジュアルアーツ専門学校)映画科卒業。YIDFF '95「アジア百花繚乱」で上映された 自主映画『につつまれて』(1992)はFIPRESCI特別賞を、『かたつもり』(1994)が奨励賞を受賞。『萌の朱雀』(1996)では、カンヌ国際映画祭カメラド−ル(新人監督賞)史上最年少受賞を果たす。『杣人物語』(1997、YIDFF '97上映)、『火垂(ほたる)』(2000)、『きゃからばあ』(2001)、『沙羅双樹』(2003)など、作品のほとんどが国際映画祭にて上映、受賞歴は多数。2000年ヴィジョン・デュ・レール(ニヨン)、2002年インフィニティ映画祭とパリ市立美術館主催ジュ・ド・ポームナショナルギャラリーでレトロスペクティブも企画された。著作に小説『萌の朱雀』『火垂』(共に幻冬舎)。CFやミュージック・クリップの演出も手がける。YIDFF 2003ではアジア千波万波の審査員を努め、2005の「私映画から見えるもの」では『影』(2004)が上映された。最新作『殯の森』(2007)はカンヌ国際映画祭でグランプリ(審査員特別大賞)を受賞し話題となった。 |