僧院物語
The Monastery-
デンマーク/2006/デンマーク語、英語、ロシア語/カラー/35mm(1:1.77)/84分
監督、撮影:パーニレ・ローセ・グロンケア
脚本:イェンス・アレンツェン、ペア・K・キアケゴー、パーニレ・ローセ・グロンケア
編集:パーニレ・ベック・クリステンセン
録音:クリスチャン・アイドネス・アナセン
音楽:ヨハン・ソーダークイスト
製作:シグリッド・ヘレネ・デュケア
製作総指揮:ミカエル・フライシャー
製作会社:チューバン・フィルム2 ApS
提供:デンマーク・フィルム・インスティテュート
配給:ファースト・ハンド・フィルムズ
ヴィー老人が「僧院」にするため50年前に購入したデンマークのヘスビアー城は、彼の念願が叶い、ロシア正教の教会・修道院として相続が正式に決まる。準備のため美しいロシア人尼僧アムヴローシヤたちがやってきて、その夢はすんなり叶うと見えたが、何かと振り回されることに。82才まで恋愛経験のまったくない独身老人は、異なる文化と価値観を持つアムヴローシヤと幾度となく衝突してしまう。しかし不器用ながらも少しずつ歩み寄って行くヴィーを、映画はユーモアと優しさで包み込み描いていく。
【監督のことば】普遍的な物語は必要不可欠であり、どんなに遠く隔たった場所にも存在する。普遍的な物語は、私に「自分自身である」ことについて何かを教えてくれる。そしてそこから、私はより聡明になる。
おとぎ話……私は昔からずっと、おとぎ話を作ることを夢見ていた。そしてヴィーさんのおかげでそれを作ることができた。このおとぎ話は、心の奥深くにある何かに触れている。とても奇妙な設定で起こる個人的でローカルな実話から、ひとつの普遍的な物語が生まれ出た。ひとりの老人についての物語、彼の夢、ビジョンについての物語。それと同時に、愛の物語でもあり、感情と折り合いをつけることの難しさについての物語でもある。
そもそものきっかけは、私が抱くヴィーさんへの深い尊敬の念だった。頑なに自分の心に忠実で、夢を追い求めたひとりの老人のロマンチックなイメージ。撮影の過程で、私は彼の苦悩と弱い部分を発見し、彼のロマンチックな夢の中にある葛藤の存在に気づく。それは私の見方を変えた。尊敬の念は、ある種の愛へと進化を遂げた。大切な種類の愛。ヴィーさんは、苦しみや悩みを私に見せてくれた。私を招き入れてくれた。そして私は、彼から学んだ。観客の皆さんにとっても、同じようであったらと願っている。ヴィーさんに心からの感謝を。
パーニレ・ローセ・グロンケア 1973年、デンマーク生まれ。デンマーク国立映画学校でドキュメンタリー製作を学び、1997年に卒業。これまでに『Der Var Så Mange Glæder . . . 』(1998)、『Min Morfar Forfra』(2001)の2本のドキュメンタリー映画で監督・撮影を務める。後者はロッテルダム・ドキュメンタリー映画祭INPUT 2002に選ばれた。また、『Det Komplicerede Familieliv』(2004)、『Familien』(2005)等、デンマークのテレビシリーズで、いくつかのエピソードを監督。『僧院物語』は2006年アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭でヨリス・イヴェンス賞を獲得した。 |