english
インターナショナル・
コンペティション
  • アレンテージョ、めぐりあい
  • 鳳鳴 ― 中国の記憶
  • 彼女の墓に花をそえるのは私
  • リック・ソルト ― 僕とばあちゃん
  • M
  • 僧院物語
  • ミスター・ピリペンコと潜水艦
  • 紙は余燼を包めない
  • 旅 ― ポトシへ
  • 主人公
  • 革命の歌
  • あなたが去ってから
  • 垂乳女
  • 12タンゴ ブエノスアイレスへの往復切符
  • ワイルド・ワイルド・ビーチ

  • 審査員
  • ペドロ・コスタ
  • 蓮實重彦
  • アラニス・オボンサウィン
  • キドラット・タヒミック
  • アピチャッポン・ウィーラセタクン
  • 旅 ― ポトシへ

    Potosi, the Journey
    Potosi, le temps du voyage

    - イスラエル、フランス/2007/英語、スペイン語、ヘブライ語/カラー、モノクロ/35mm(1:1.66)/246分(フィルム1:130分 フィルム2:116分)

    監督、脚本、撮影:ロン・ハヴィリオ
    スチール:ロン・ハヴィリオ、ジャクリーン・ハヴィリオ、ヤェール・ハヴィリオ
    編集:メラ・マルケス、ロン・ハヴィリオ 録音:ナオミ・ハヴィリオ
    製作:ロン・ハヴィリオ、パトリック・ソーベルマン
    製作会社、提供:EX NIHILO

    1970年、ブエノスアイレスで結婚式を挙げた監督ロン・ハヴィリオと妻ジャクリーンは、バックパックとスチール・カメラを手にアンデス山脈へ向かった。その道中でボリビアのポトシという鉱山の街に出会う。29年後、ふたりは娘3人とポトシを再び訪れて過去と現在を繋げていく。静寂なアンデスの風景、ゆったりとした音楽。それらと相反して厳しい環境に生きる人々。家族はゆっくりと歩み心を通わす。



    【監督のことば】人生には、住み慣れた場所を離れ、旅に出ようと決意する瞬間がある。その旅は、もしかしたらとても大きな意味を持つかもしれない。何年もたってから、その旅が世界の見方を変え、人生を変えたと、気づくことになるかもしれない。私は20歳の時、それを経験した……そして50歳に近づいた時にも、再び経験することになった。

     2度の旅の焦点は、ポトシという街だった。ボリビアの外に暮らすほとんどの人にとっては、なじみのない地名だろう。しかし私は、ポトシは地球上でもっともパワフルな場所のひとつであり、人類の文明史で中心的な役割を果たしてきた都市だと信じている。

     ブエノスアイレスからポトシに向かった1999年の旅は、わずか2カ月足らずだった。しかしその後、この映画の編集から完成までに7年の歳月を費やすことになる。ますます目先のことしか考えなくなっている世界の中で、長期にわたるプロジェクトに乗り出したのだ。

     『旅 ― ポトシへ』は、現在の流行りに逆行する映画だ。長い年月をかけることで、日々の生活のシンプルな美しさを捉えようとしている。すべてのシーンは脚色なくあるがままに撮影され、編集の段階で映像の撮影された順番に手を加えてもいない。観客のみなさんも、映画の全編にわたって静かに流れるリズムに乗って、自分の体験、過去の旅や夢に見る旅に、思いを馳せてもらえたらと思う。

     また、本作がボリビアを描いた重要な映画になることも願っている。ボリビアは大きな苦しみを経験し、現在、大変動が続いている国だ。私はこの愛する国のために、少しでも恩返しができることを嬉しく思う。


    - ロン・ハヴィリオ

    1950年、エルサレム生まれ。パリ、イスタンブール、ヤウンデ(カメルーン)で幼少期を過ごす。絵画と写真に興味を持ち、ヘブライ大学で美術史を学ぶ。その後映画に移行し、私的な日記映画言語の手法を試みる。1984年に2時間の旅行記を制作したが、公開はされなかった。そして1987年、記念碑的作品の『エルサレム断章』(1997)に着手。6時間に及ぶこのドキュメンタリーの中で、エルサレムの歴史を縦糸に、個人の日記、家族の物語が紡がれる。『エルサレム断章』はYIDFF'97でロバート&フランシス・フラハティ賞を受賞。本作は10年がかりのその次作品。エルサレム映画学校で教鞭を執り、またエルサレムの合気道道場でも教えている。