革命の歌
RevolutionKenen joukoissa seisot
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フィンランド/2006/フィンランド語/カラー、モノクロ/35mm(1:1.85)/80分
監督、脚本:ヨウコ・アールトネン
撮影:ユッシ・エーロラ、ティモ・ペルトネン
編集:サム・ヘイッキラ
録音:ポール・ユララ
音楽:ヘイッキ・ヴァルポラ
製作:ペルッティ・ヴェイヤライネン
製作会社:イッルメ
提供:フィンランド・フィルム・ファウンデーション
革命歌を歌う熟年者たち。学校、図書館、スーパーや夜の街で堂々と歌う彼らは一体何者なのか? 1960年後半、理想主義に燃え社会主義運動に触発された歌と数々の音楽グループが誕生した。40余年を経て、若く美しい活動家だった彼らも今は中高年に。揚々と歌う当時の姿と現在の職場などでの歌いっぷりをあわせ見せ、「よりよい世界」を求めていた時代を懐かしみ風刺する。
【監督のことば】私にとって、この『革命の歌』という作品は何よりもまず体験についての映画だ。ある世代全体が共有した、より良い世界、より公正な世界は実現できると信じる強い気持ちと高揚感を描こうとしている。かつては革命と社会主義が、その目的を達成する手段だった。今の私たちは、少なくとも現実になった形の社会主義では、問題を解決できないと知っている。しかしあの頃は、まだそれを知らなかった。この映画は、誠意と勇気を持って世界に挑んだ彼らの姿を描いている。あれから時が経ち、1970年代を冷静に語り合う機は熟したと見ていいだろう。誰が正しかった、誰が間違っていたと指摘し、糾弾するだけでは、凡庸で退屈だ。いま、1970年代を再評価する空気が生まれ、現代の若者も、あの時代に対する健全な好奇心を表している。ポリティカル・ソングを歌うグループ、アギット・プロップのコンサートと、コム劇場の40周年記念コンサートがソールドアウトになったことは、単なる偶然では片づけられない。
映画の登場人物より数年若い世代に属する私は、政治歌謡運動(ポリティカル・ソング・ムーブメント)に関わっていない。だが進学のためにヘルシンキに出るのがもう少し早かったら、歌唱力がいくらかあったら、私も何かのグループで歌っていたにちがいない。1970年代の運動と、それが生み出した音楽に接することができたのは、私にとってとても実りのある、目(と耳)を開かせてくれる体験だった。あの運動の広がりとエネルギーだけでなく、芸術的な可能性にも感銘を受けた。すぐに忘れられるような平凡な歌もたくさんあったが、時代を超えて生き残る歌も数多く生まれた。それらの歌が提起した根元的な問いは、今日でも意味を持つ。私たちを取りまく環境は変わったが、それらの問いはまだ答えを待っている。いつの時代も、基本を学び、ツケを払うのが誰かを考えるのは大切だ。そして、こうたずねることも。「あなたが立つのはどちら側?」
ヨウコ・アールトネン 1956年生まれ。シベリアのタイガからニューデリーの社交界まで、幅広いジャンルのドキュメンタリーを監督。主な作品は『In the Arm of Buddha and the Drum』(1997)、『Constructing and Destroying』(1998)、『Road of Hunger』(1999)、『Ambassadors』(2004)、『Life Saver』(2005)。本作はミッドナイト・サン映画祭(フィンランド)、第49回(2006)ライプツィヒ国際ドキュメンタリー&アニメーション映画祭などで上映された。 |