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アジア千波万波 [モンゴル]

永遠回帰

Perpetual Motion
Perpetuum Mobile

- モンゴル/2002/モンゴル語/カラー/ビデオ/55分

監督、編集:サヒヤ・ビャンバ
撮影:サヒヤ・ビャンバ、B・プレヴドルジ
録音:サヒヤ・ビャンバ、B・プレヴドルジ、L・バトデルゲル
ナレーター:O・オユーン
製作会社、提供:P.S. ピクチャー
P.S Pictures
P.O-20, P.B-224, Ulaanbaatar 20 MONGOLIA
Phone: 976-11-352997
E-mail: sbyamba@magicnet.mn

みなし児の少女たちが暮らす、ウランバートル郊外の僧院。傍らを鉄道が通っている。遠くに赤茶けた丘陵地がそびえる。寺院の儀式を手伝い、縄跳び遊びをし、本を読み、英語を勉強する少女たちの暮らしは、穏やかな時間の流れと乾いた静けさに満ちている。仮設駅のようなこの世界の外を示唆するのは、時折通る列車の響きと、ラジオから聞こえる、外国企業の経済帝国主義への警鐘ばかり。芭蕉、一茶、良寛を引用した哲学的な映像詩。



【監督のことば】私たちはかつて自分たちを偉大な創造者だと思っていた。人生や幸せの持つ意味を、手にした富の大きさで測っていた。しかし、人生の究極的意味は時間によってのみ測られ、評価される。私たちが暮らすこの終わりなき時間と空間に比べれば、人間による創造や発見、ひらめきや理解はどれもちっぽけなもの。社会における価値観、私たちの思考や目標は、時代に応じて常に変化してきた。この無限の変化の中で人間の希望、信念そして愛だけが絶対的な意味を保ちえている。だからおそらく、人間が存在する意味を見い出し、幸福を得るためには、希望や信念や愛を失わないことこそが大切なのである。

 民主主義と市場経済へと変化するモンゴル社会の変動期に『永遠回帰』は撮影された。実際、時空が奇妙に交差する場にある小さな僧院は、過渡期におけるこの社会の縮図ともとれる。

 70年続いた共産主義政権崩壊の後、モンゴルの人びとは自分たちの歴史や文化遺産を取り戻し、国としてのアイデンティティを再発見することに力を注いだ。しかし、四六時中、復古ばかりを望むのではなく、未来を見つめる必要性にも気づいていた。過去と未来、この相反する2つの時空に存在することはたやすくはない。だから私たちは、英語を学ぶと同時に古来のモンゴル文字を学び、破壊された僧院を修復すると同時に新しい経済システムをうち立てている。

 「いま」を形成するのは過去と未来なのだ……。


- サヒヤ・ビャンバ

1962年モンゴル、ウランバートル生まれ。イルクーツク(ロシア)の国立大学で数学を学ぶ。1983年から90年にかけて、モンゴル・キノ・スタジオでカメラ・アシスタントをした後、全ロシア国立映画大学(VGIK)で撮影を専攻し、1996年に卒業。卒業作品『Umbilical Cord』は数々の国際映画祭にて上映される。『ステート・オブ・ドッグ』(YIDFF '99で上映)や『Real Men Eat Meat』などで撮影監督を担当。ピーター・ブローゼンスやピーター・クルーガーとともに手がけた作品『Poets of Mongolia』は1999年モンゴル最優秀ドキュメンタリー賞を受賞。2000年にはドイツ、シュトゥットガルトの「Akademie Schloss Solitude」の特別奨学金を獲得。現在はウランバートルに住み、フリーランスのカメラマンおよびインディペンデント映画の監督として活躍している。


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