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アジア千波万波 [韓国]

塵に埋もれて

Dust Buries Sabuk
Meonji, Sabukeul Mootda

- 韓国/2002/韓国語/カラー、モノクロ/ビデオ/83分

監督、編集、ナレーター、製作:イ・ミヨン
撮影:ソン・へラン、ユン・ジョンウォン、イ・ミヨン
録音:キム・イチャン
音楽:ミソニ、コン・ミョン、チョン・ミョンファ
提供:イ・ミヨン
Lee Mi-young
Jin Heung Apt., Da-405 Bu Pyung, Incheon KOREA
Phone: 82-11-9844-3191
E-mail: dustsabuk@empal.com
URL: www.dustsabuk.com

軍事政権下の1980年韓国。炭鉱の劣悪な環境に抗議したサブク鉱山の労働者たちが蜂起した。光州事件の1カ月前だった。炭鉱夫らは労組委員長の自宅や警察署を襲い、武装警察が出動する暴動にまで発展した。3日後に事態が沈静化すると、当局は81人の労働者を連行し拷問を加えた。この映画では当時5歳だった監督が事件のあらゆる関係者に取材をする。20年間で会社や当局の責任者は韓国社会の頂点に上りつめ、元労働者は拷問の恐怖とその後の社会的な差別で心身ともに深い傷を負っていた。



【監督のことば】韓国の主なエネルギー源だった石炭は、植民地時代には北の炭田地帯でのみ生産されていた。しかし1953年、朝鮮戦争によって南北に分断された韓国は、他のエネルギー供給源を探さなければならなかった。それは戦後の復興と経済開発のために欠かせないことだった。そうして1960年代以降、サブクを含む南の山間地帯は、炭鉱によって開発され、鉱山労働者は過酷な労働条件を甘受せざるをえなかった。そのような状況は1970年代末の世界的な不景気まで続いた。

 1980年、韓国は独裁者の死を機に、政治的に雪解けの時代を迎えた。その年の4月、かつて無慈悲で独裁的な開発の犠牲となった鉱山労働者と住民の怒りが一気に爆発した。

 私は、1980年のサブク蜂起に関する話を初めて聞いた時、歴史的な重みを持っているにもかかわらず、この事件に一度も光が当てられてこなかったという事実に驚いた。それと同時に、蜂起の主体である鉱山労働者と住民が、この事件に対して自負心ではなく、無念さや屈辱感を持っている点に疑問を感じた。数回に渡って手紙や電話のやりとりをしたり、直接訪ねたりしたが、鉱山労働者と住民にはなかなか会えなかった。その理由は、事件関係者が暴力と恐怖の記憶を持っているからだった。私はそのことを後になって少しずつ知ることになった。言うなれば、関係者は今も採掘場の奥から出て来られずにいるのだ。

 1990年代半ば以降、軍事独裁時代の多くの事件を振り返ろうとする動きがあるが、サブク蜂起は依然として取り残されたままである。本作は、歴史のメインストリームから断絶され、注目されることのなかった鉱山労働者に関する映画であり、その時代を経験した人や、その洗礼を受けた我々の世代の足跡に関する映画なのだ。


- イ・ミヨン

1975年生まれ。1998年、高麗大学を卒業。ドイツ文学を学ぶ。作品歴に『Home of Dust』(1999)、『History of Coal Mine, Sabuk-Kohan』(2001)。初恋に破れた大学4年の冬、大雪の降る中を、旅行カバンを持ってサブクに向かい、荒涼としたサブクが自分とよく似ていると感じた。1997年のサブクは、すでに多くの炭鉱が廃止された状態で、雪に覆われた炭鉱のように、鉱山労働者という存在も埋もれつつあった。それからサブクのドキュメンタリー製作を始める。本作はソウル人権映画祭などで受賞した。


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