YIDFF: 刊行物: YIDFF 2003 公式カタログ

アジア千波万波 [韓国]

それから

And Thereafter
Geurigo Geu Hu

韓国/2003/英語、韓国語/カラー、モノクロ/ビデオ/55分

監督、脚本、撮影、編集、録音：イ・ホソプ
音楽：ナ・ユンホ
製作：イム・ヒョンオク
製作会社、提供、配給：ドキュ・アイ・プロダクション
Docu-Eye Productions
21-71 36th St. No. 2R Astoria, New York 11105-2103 USA
Phone: 1-718-267-7177
Fax: 1-718-267-1199
E-mail: imhyunock@earthlink.net

朝鮮戦争後にG.I.と結婚しアメリカに40年以上住む韓国人老婆。英語が不自由でアメリカ人に見下され、韓国人からは売女と呼ばれながら、アメリカンドリームの典型のような青い空の下、広い家で3人の子どもたちを育てあげた。周囲が緑萌える春から雪深い冬まで四季折々に姿を変える中、夫や子どもたちとの凄惨な歴史がぽつりぽつりとひも解かれていく。韓国旗がはためく畑で唐辛子づくりをする、曲がった背と小さな体に、運命に翻弄される個人の哀愁とそれを受け入れる意志の強さが映る。

【監督のことば】朝鮮戦争の後、1万人の韓国人女性が米国兵士と結婚し、アメリカへ渡った。彼女たちにとって結婚は、戦後のひどい貧困から抜け出す唯一の方法だった。アメリカ人に嫁ぐことは、飢餓に別れを告げ、人生を“美国”で暮らすことを意味した。私は、これらの女性の結婚式の後、つまり“それから”の人生を知りたくて本作の製作を始めた。

　ヨンジャ・ワイクは、これらの女性のひとりだ。現在彼女は、ニュージャージー州ブラウンズ・ミルズで赤唐辛子を栽培しながら暮らす。朝鮮戦争花嫁の離婚率は高く、彼女自身、問題含みの結婚であるにもかかわらず、夫との生活を続けている。ほとんどの76歳の女性の夢は、家族に囲まれ意味のある仕事をすること。しかし、現実の生活は、さらに複雑だ。あまりいたくない国に隔離され、韓国へ帰郷することもできず、事実上の他人となってしまった夫や子どもたちに囲まれるワイクお婆さんの姿はアメリカン・ドリームではない。彼女は、顔の皺を増やしながら過ぎ行く年月を数えることしかできない、アメリカ地獄にいる。

　私たちは、国際的なことは個人的であり、国際的な出来事や政治が個人に多大な影響を及ぼすことを知りえた。韓国とアメリカの不平等な地位関係によって、国際情勢が国内情勢を不安定にする。その結果、個人間の関係も不安定で不平等なものとなる。私はワイクお婆さんの中に、韓国とアメリカの不平等な関係と痛ましい韓国の歴史をみる。

イ・ホソプ

ソウル生まれ、ソウル大学卒業。ニューヨーク大学で公共経営を修めた後、韓国に帰国し、数年間、プロデューサーおよび監督としてKBSメディア・エンタープライズに勤務。主なプロジェクトだった『日曜スペシャル』では、ジャズから宇宙人の探索まで、幅広い話題を扱ったドキュメンタリー10作品以上を監督、プロデュースする。ニューヨークに戻り、シティ・カレッジ芸術修士課程に入学。卒業作品として制作した、短編版『それから』は、シティビジョン2001最優秀作品賞、最優秀撮影賞を受賞。また、第25回アジアン・アメリカン国際映画祭に選出された。

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それから