インターナショナル・コンペティション
審査員
許鞍華(アン・ホイ)
●審査員の言葉
私はますますドキュメンタリーのことを主観と魂に関するものだと思うようになっている。ドキュメンタリーのなかに、私は精緻な映像や音声、多量の情報を求めない。私はこの世界を見ているカメラの背後のある個性を求め、ある視点を強制することなくそこに立ち現れるようにするための作家の抑制と微妙さを編集のなかに探り、カメラのなかにその息吹と脈拍を感じる…。だが考えてみれば、以上のことは私が映画を作るにあたって全力をあげることだ。
許鞍華(アン・ホイ)
1947年中国鞍山に生まれるが、幼少時マカオ、続いて香港に移住。胡金銓(キン・フー)監督の助手を経て、テレビ・ドラマの演出を多数手がける。1979年『瘋刧』で劇映画に進出、即座に香港ニューウェーヴの代表的監督のひとりとして話題をよぶ。『望郷』(1982)はカンヌ国際映画祭で注目され、1983年金像賞(香港アカデミー賞)作品賞及び監督賞受賞。主な作品に『客途秋恨』(1990)、『女人、四十。』(1995)。ドキュメンタリー作品『私の香港/去日苦多』(1997)は1997年の本映画祭で招待上映。 |
千言萬語
Ordinary Heroes-
香港/1999/広東語/カラー/35mm (1:1.85) /128分
監督・製作:許鞍華(アン・ホイ)
脚本:陳健忠(チャン・ギンチョン)
撮影:余力為(ユー・リクウァイ)
編集:鄺志良(グォン・ジィリョン)
録音:杜篤之(ドゥ・ドクジィ)
音楽:許愿(ホイ・ユン)、趙増熹(チィウ・ヅァンヘイ)
出演:李孋珍(レイチェル・リー)、李康生(リー・カンション)、黄秋生(アンソニー・ウォン)
製作会社:クラス・リミテッド
提供:福岡市総合図書館
〒814-0001 福岡市早良区百道浜3-7-1
Phone: 092-852-0608 Fax: 092-852-0609
1980年代――中国への返還が現実の問題として意識されて来た時代――の香港の物語。70年代には香港でも学生運動が盛り上がった。80年代の中国本土の民主化運動は香港社会にも影響を与え、その本土からの不法移民も増加。経済成長のなかでの貧富の差も広がり、犯罪の増加などを引き起こした。そうした不安な社会を背景に、変わり行く香港のなかで苦闘する社会活動家たちの姿を描く。その大部分は実話に基づいている。